投資用マンションは買いか?


投資用マンション販売企業は、なぜ、その物件を自社保有しないのか。
これが、そもそもの疑問。


彼らのセールストーク通り「確実に儲かる」のなら、自社で保有するのが合理的。
にも関わらず他者に販売するのには、それなりの理由があるはず。
その理由を考えてみた。


もっとも短絡的な答えは、当たり前のことだけど、自社保有するより他者に販売する方が儲かるから。
仮に利回りが5%とするなら、販売した場合はそれ以上の利益率となるはず。
であれば1戸2000万円ぐらいで、総戸数20戸ぐらいのマンションなら、次のような試算になるのではないか。


売上総額:
2000万円×20戸=4億円


自社保有した場合の利回り(1棟):
100万円(2000万円×0.5)×20戸=2000万円


原価推定:3億円(あくまでも仮の数字)
回収必要年数:15年


自社保有せず完売した場合の粗利益:1億円


純化すれば次の比較になる。
自社保有した場合、15年目以降に収益として見込める(可能性のある)利益は年額2000万円。
今年完売すれば、すぐ手にできる利益が1億円。
この二つをディスカウントキャッシュフローで考えたとき、どちらかが高い価値を持つかを判断することになる。
直感的に、目の前の1億円の方が価値が高いと思う(当たり前だ)。


では、この物件を客の立場で購買すべきかどうかを考えてみるとどうなるか。
2000万円の投資に対して、年率5%の利回りを価値があるとみなすのか、そうとらないか。
それぞれの客が置かれている立場によって違うだろう。


ただし注意すべき点が3つぐらいありそうだ。
まず一番には回収に必要な20年を経過した後に、その物件にまだ2000万円の価値があるかどうか。
これはあり得ない。
維持・管理コストをどれだけかけても、物件は必ず傷んでいくために、価値は下がる。
もちろん維持・管理コストをかければかけるほど利回りは悪くなる。
またこの先、土地価格が以前のように上がることも考えにくい。
であれば、20年後の価値は、相当低くなる可能性がある


さらに年率5%が20年間ずっと保証されるのかどうか。
家賃が下がれば、当然5%の利回りを確保することはできない。
20年間で近隣の環境が大きく変わる可能性もある。
仮に20年後に1000万の価値が残り、20年間確実に5%の利回りを維持できたとする。
すると投資2000万円に対する回収額は3000万円。
つまり20年間での利益は1000万となる。
ということは年間50万であり、実質的には2.5%の利回りだ。


しかもこの利回りは複利ではない。
仮に2000万円を20年間、複利で運用すれば、利回り3.6%でも倍の4000万円になる。
そう考えると、投資用マンションを買うってのは、あまり賢明な資産運用法とは言えないのではないか。


以上のように考えたんだけど、どっかおかしいですか?

本日の稽古

 砂袋:突き100、蹴り100