今どきのベンチャー起業家


ベンチャーブームは、何年か周期でやってくる。


この前は20世紀の終わりから21世紀の初めにかけて、ほぼIT系一色のブームがあった。
ほりえもんサイバーエージェントの藤田氏などが、この波に乗った勝ち組だろう。
うろ覚えだが、上場時の株価が最高だと騒がれたのは確かインターネット総合研究所じゃなかったか。
なかには上場後に、社長が暴力団と関係があり監禁・傷害罪で逮捕なんて企業もあったはずだ。


ともあれ、昨年あたりから再びベンチャーブームとなっているようだ。


しかし、今回のベンチャーブームは、決してIT一色ではない。
むしろ、旧態依然とした業界に、新しいビジネスモデルを持ち込んで成功しているベンチャーの方が多い。


その若手経営者の方々に逢って話を聞くと、これがまた極めてまとも。
つまり自分のビジネスモデルをしっかりと持っている。
誰に、どんな価値を、どれぐらいのコストで提供し、その対価をどれぐらいにせっていするのか。
こうしたことが的確に設定されている。
しかも基本的にすこぶる礼儀正しく、人間的に魅力があり、リーダー性を感じさせる。


なに、これ!
みんな、まだせいぜい30代前半までやで。
なんで、こんな、しっかりしてるん?


と思うのが、すでに旧世代的発想なんだろう。
私はいま45歳だが、自分が20代のときには起業しようなどとは、まったく考えなかった。
私のまわりにいた(こいつらは、かなり特殊な部類かもしれないが)人間もそうだ。
というよりも、世間一般的に20代での起業などとんでもなく、
30代でさえ起業などは、ほとんど誰も考えていなかった。


誰も考えていないようなことを実現する奴は、やはりほとんどいないのだ。
個人レベルでいえば、自分が考えたこともないことを、できちゃったりするわけないのだ。


このあたりの感覚がいまの若手経営者は違う。
彼等はたぶん10代のうちに、世の中にはいろんな若手経営者がいることを
情報としてインプットされている
ビルゲイツは何歳でマイクロソフトを始めた、スティージョブズは、マイケルデルは。
あるいは孫正義は、ほりえもんは…といったように。


豊富な情報は意識を変える。


彼等にとってはおそらく、自分の近未来の選択肢としてごく普通に起業がある。
もしかしたら起業と就職がほとんど同じレベルであるのかもしれない。
選択肢として起業があれば当然、どうすれば起業できるかを考える。
考え、望めば、その方向に動く。
動きながら学ぶ。


幸い、日本にはまだ規制や、業界の仲間意識が生きている分野がある。
そんなところにはたいてい、ごくフラットに顧客価値の視点から見ればおかしな穴がある。
そこをつく。
成功する。
折からの行き場を失ったマネーがベンチャー投資に向かっている風を受けて波に乗る。


こんな構図ではないだろうか。

本日の稽古

  砂袋:突き120、蹴り100