不眠症とビジネスクラス


不眠症の解決方法は、上空33,000フィートにあった」


NORTHWEST AIRLINESの新聞広告だ。


一応、分析してみる。


ターゲットは、企業経営者やいわゆるセレブと呼ばれる人たちだろう。
訴求価値は、ビジネスクラスの快適さ。
キャッチとしてのアイデアはおもしろい。
「ん! なになに」とは思わせる。
形容詞を使っていないのがグッド。
数字を使った具体性もある。


ノースウエストなら、基本は日米線だから最低10時間以上のフライトになる。
エコノミーじゃ、つらい。確かに。


でもなぁ、だからといって、このキャッチ、ありえるか
私がコピーライターとして心の中で秘かに師匠と尊敬している方は、
良いコピー/悪いコピーは次の方法で見分けられると喝破しておられる。


http://blog.livedoor.jp/frankjuso/archives/8473405.html

 優れたキャッチフレーズを生み出す公式はなくても、すでに生まれたキャッチの良し悪しを
 簡単に見分ける方法(クシ)ならあります。隠しておいてもメリットがないので公開しまし
 ょう。私は仮に「ダカラカッテネ検査」と命名しておりますが、それは:


 キャッチフレーズの後に「だから買ってね、(商品名)」とつけてみることです。「買って
 ね」の部分は、商材にあわせて「来てね」(商業施設)になったり「乗ってね」(交通)に
 なったりしますが、基本は同じです。


この検査を当てはめてみると、


不眠症の解決方法は、上空33,000フィートにあった」。だから乗ってね、ノースウエスト。


変ですね、明らかに。


百歩譲る。


不眠症を解決する手段として、(ノースウエストの)ビジネスクラスに乗ることが、あるとしよう。
もちろん、不眠症を解決する手段は他にあるから、選択肢としては下位になるはずだ。


仮に一回のフライトで不眠症が治るとすると、その治療費やいかに。
成田〜サンフランシスコの最低価格が35万ぐらいか。


でもなあ、このフライトで万が一、不眠症が治ったとしても、時差ぼけがひどかったりしたら、
また不眠症がぶり返したりしないか。


なんて、いちゃもんをつけてはいる。
いちゃもんつけながらも自分がアメリカ出張へ行くとなると、ビジネスがいいなぁとは思う。
確かに思うのだが、エコノミークラスとの差額(たぶん30万ぐらい)が、
一夜を快適に過ごす対価として妥当かどうかは、ものすごく悩むだろう。


結局、今の自分にとって30万ぐらいの差額は、ものすごく大きいのだ。
であれば、それぐらい何でもないよって方にとっては、もしかしたらこの広告は効くのか。


あら?