なぜオヤジは格闘技に魅せられるのか


格闘技に取り組む中高年が増えているらしい。確かに私が通っている道
場でも、練習に来ているのは30代以降の男性か、20代の女性が中心
だ。オヤジ限定の大会などもちょくちょく行われている。もちろん若い
頃からやっている人がいる。でも、半数は年とってから始めた人、つま
り闘うオヤジだ。


なぜ、わざわざ歳を取ってから格闘技をやるのだろうか?


格闘技は、どんなにソフトにやっていても、基本的には痛いものだ。打
撃系の痛みはもちろん、固くなった体を動かすことによるダメージだっ
てある。スタミナがないから、練習するだけでかなり苦しい。


空手の場合は、突き指程度のケガはしょっちゅうのこと。あばらにヒビ
が入るくらい、ほとんど誰でも一回は経験しているんじゃないだろうか。
加えて、骨折もよくあるし、じん帯にケガをすることだってある。


それでも、ケガを理由にやめる人は滅多にいない。なぜだろう。


という私だって空手を始めたのは、41から。もともと嫌いじゃなかっ
た。というよりテレビ『空手バカ一代』をリアルタイムで見ていた世代
である。オープニングで大山倍逹がビール瓶を切るシーンを見ては「すっ
げ〜、かっちょえ〜」とほざいていた世代だ。


大学時代にはコミックを全巻一気に揃え、大山倍逹の著書をほとんど読
みあさり(しかも赤線を引きながら)、黒崎健時、山崎照朝、廬山初雄
から中国拳法系の松田隆智へと進み、夢枕獏今野敏の格闘技系ノベル
まで含めれば、その系統の本だけで50冊は軽く超えるだろう。要する
にホントはやりたかったのね、空手を。


ところが、なまじ極真会の話を知っているだけに、そうおいそれとは手
を出すことはできない。何より自営業の身とあれば、ケガが恐い。何し
ろ会社勤めのように、誰から自分の代わりに稼いでくれるわけじゃない
から、仕事をできなくなれば、即、収入ストップとなる。冗談じゃなく
死活問題となる。


でも、毎年、誕生日の前になると、今年こそやろう。思いきってどこか
の道場に入ろうと考えていた。


そんな私の背中を押してくれたのが、子どもだった。


と考えて、うちの道場にいる人の顔を思い浮かべてみると、みんな、子
どもも一緒に空手を習っている。ここが実はキーポイントなんだろうか。
子どもに武道を習わせたいと考える人は多い。礼儀作法を学ばせるため
に、あるいは護身として。また精神を鍛える目的もあるだろう。特に塾
通いの始まらない小学校中学年位までの子どもを対象にした武道系の教
室はたくさんある。


そこで子どもがまず始め、その姿を見て、お父さんも始める。そんなパ
ターンも多いのかもしれない。このからくりは、オヤジに何かさせるた
めには有効な仕掛けとして機能する可能性もあるだろう。少し前に流行っ
ベイブレードなんてのも、案外オヤジが喜々としてやってた可能性も
ありそうだ。


オヤジに何かさせる。あるいは金を使わせるなら、まず子どもを動かせ。
実は、こんなマーケティングセオリーが成立する時代になっている可能
性もありそうだ。と考えれば、ゲームなんかもあてはまりそうな気がす
る。次に何か仕掛けてくるとすれば、食か、あるいは衣か。学なんて切
り口もありそうだ。


このパターンで最近のヒットマーケティングを見ると、何か発見がある
かもしれない。





本日の稽古:

  砂袋:突き100本、腹筋100回
  膝の痛み、かなりマシに。
  とはいえ、まだ膝の屈伸運動はムリだった。あと2日ぐらいか。

空手バカ一代(1) (講談社漫画文庫)

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