正中線を狙え


ごく軽く、でも早いめのスパーリングを、と指導員がいっているのに、
どうも左のジャブ(かなぁ)をバチンと強く叩いてくる先輩がいた。
「なんで、そんなにつよ〜叩くねんな、かる〜にっていうたはるやん」
と、ちょい腹立ちまじりながら不思議で仕方なかったのだが、さて。


先週からワンツーを子どもたちに教えていて、ふと気づいたことがあっ
た。普通に左前の組み手スタイルでお互いが構えたら、右のパンチは絶
対に相手の体に垂直には当たらないと。


お互いに左肩を前に斜めに構えているわけだ。


ということは、仮にそのまま右ストレートを突いたなら、相手が少し右
肩を引くだけで、突きは空を切ることになる。こちらの突きのラインに
対して、相手の体が斜めになっているから、これは当たり前のこと。


では、右を突く前に、左で相手の左肩を強く突けばどうなるか。左肩に
パンチを食らえば、当然相手の左半身は後退する。つまりこちらに対し
て斜めになっていた相手の体が、正面を向くことになる。


そこに右を突けば。相手の正中線にほぼ垂直に突きをぶつけることがで
きる。なるほど、あの先輩の強い左突きには、こんな意味があったかと
納得した次第。


大切なのは意識なのだ。


自分の突きを、相手の体のどこに決めるのか。上から下へと叩きつける
ように突くか、あるいは下から上へ抉りあげるように突くか。いずれに
しても相手の体に対して、突きが垂直に当たらないと効果はない。正中
線を狙うのか、レバーを狙うのか。試合を前提にしたスポーツの場合、
本当の武道の場合で、狙い所は変わってくる。


おそらく蹴りの場合も同じように意識の持ち方が大切なのだ。前蹴りな
正中線上のどこに中足を突き刺すのか。中段の回し蹴りなら、自分の
スネを相手の体のどこに叩きつけるのか。今のところの勝手な思い込み
では、前蹴りは突き刺す、中段回し蹴りは叩きつけるイメージが大切な
んだと思っている。


こうしたことを意識して稽古する人と、あまり考えずにとりあえず力一
杯、思いっきり早く蹴り込むことを考えている人ではたぶん、何年か稽
古を重ねた時に大きな差がつくのではないか。


そう考えれば、あの先輩の痛いほどの左ジャブの意味がわかる。あれじゃ
ないとジャブの意味がないのだ。とはいえ、もうちょっと加減してもら
えるとうれしいな、なんて軟派なことも考えてしまうのだった。







本日の稽古:富雄中学体育館 18:30〜20:30

  基本稽古
  腕立て、腹筋、背筋