マクドナルド・百円戦略の読み違え


マクドナルドが100円メニューで大幅減益となったらしい。経常益94%
減というから、相当なダメージだ。なぜ、そんなことになったのか。


マクドの低価格路線は、今に始まったことじゃない。数年前には外食ディ
スカウント競争の口火を切ってもいる。この時には、いったんは圧倒的
な勝利を収めた。しかしその後の価格戦略は試行錯誤を繰り返し、結果
的には成功とはいえない状況に陥り、ブランドイメージも落としている。


そこでマック(マクドじゃなくて、Macintoshのアップル社ですね)か
ら原田社長を迎え、新しく打ち出したブランド戦略に一応、成功。その
上での満を持しての100円メニューだったようだ。


この低価格戦略の狙いは、シェア奪回。マクド離れをしたかつての顧客
に、もう一度来店してもらうためのキッカケ作りが目的である。


が、見事に失敗した。


「百円マック」のおかげで客数は前年同月比10%とたしかに増えたよう
だ。にも関わらず客単価は、13%と客数増を打ち消す減り方となった。
おそらく「百円マック」だけを注文する客が増えたのだろう。オペレー
ションコストを考えれば、そんな客に対しては、もちろんほとんど利益
が出ないか、赤字の可能性もある。


マクドサイドの思惑は、つぎの2つだったのではないだろうか。
1.百円マックに魅力を感じて来店、ついでに他のメニューも購入
2.百円マックを、もう一品のメニューとして購入


いずれもが外れたのだから、この戦略は失敗である。


では、どこで読みを間違えたのだろうか?


百円に魅力を感じる顧客像だと思う。


今回の「百円マック」に群がったのはおそらく、百円で買えるマックの
商品に魅力を感じた人ではない。そうじゃなくて、たった百円で時間を
過ごせる場所があることに魅力を感じた人ではないか。おまけに百円の
ハンバーガーとかコーヒーもついてるってわけだ。調べたわけじゃない
から実態はわかんないけど、もしかしたら百円メニュ−の中ではドリン
ク類の売上が圧倒的に多かったんじゃないだろうか。


百円での時間消費に魅力を感じる人たちが、たくさんやってきたら、回
転率は下がるは、客単価も下がるはで、まさに踏んだり蹴ったり状態だ。


成熟市場では価格競争にならざるをえない。これまでのマーケティング
セオリーではそうなっている。だから価格を下げてシェアを確保しよう
としたマクドナルドは、理論的には間違っていない。しかし、肝心の顧
客ニーズを読み違えたのだ。あるいは予期しなかった顧客が押しかけて
来た。これがマクドナルド百円戦略の読み違えだろう。


ともあれ、時間消費はこれからのマーケティングを考えていく上でキー
コンセプトとなる。この一点だけは読み間違えないようにしたい。






本日の稽古:

  拳立て60回、腹筋60回
  砂袋:突き100本、蹴り100本