団塊大量リタイアの影響


2007年から団塊世代の定年退職が始まる。


昨日、東京で団塊問題の専門家に取材した。話を聞いて、一日経ってふ
と思いついたのが、2007年問題と2008年問題の関係。


人口数にして約700万人、日本の総人口の5%がリタイアしていく。
世界でも例がないような短期間・大量退職はさまざまな問題を引き起こ
す。これが2007年問題。


たとえば、モノ作り現場での高度な技術が引き継がれなくなる問題、お
もにCOBOLなどの言語で書かれた既存のシステムにトラブルが起こっ
たときに対処できる技術者がいなくなる問題、リストラで人減らしに努
めてきた企業がいつの間にか人材不足になってしまう問題等々。


一方、2008年問題とは、国家財政の大問題。1998年、小渕内閣
が景気回復のためにと赤字国債を一挙に140兆円も発行した。この巨
額の借金返済が始まるのが2008年というわけ。

団塊リタイアの2007年問題は、
実は国家財政の大問題2008年問題にも
大影響をもたらすのではないか?


ちなみに2004年度の一般会計は82.1兆円。このうち17.6兆
円が国債費、つまり借金返済や利払いにあてられている。だから実質的
な支出(公共事業、公務員人件費、社会福祉から防衛費など諸々)とし
て使われたのは64.5兆円。要するに公共事業をもっと減らしたり、
公務員の数を減らすor給料カットとか福祉カットなどをやんない限り、
今の日本政府にはこれぐらいのお金が必要だってことだ。


では収入はどうだったのか。主に税収が支えている収入は45.5兆円
だった。ということはぜんぜん、というか正確には36.6兆円足んな
い。この分を財政赤字で、つまり新しく国債を発行(=借金)してまか
なっている。


ものすごく単純化すると、年収45万円の人が、生活費やなんやかやに
64万使ってる。その上、これまで借りたお金の返済が毎年17万必要。
当然、足りないから新しく36万借金したと。普通、こんな人にさらに
追い貸ししてくれる人って、あんまりいないんだけど…。


ま、要するに大赤字なわけです。ここに2008年からは世界一の借金
王とか自称していた小渕国債の償還が始まり、その額40.6兆円だそ
うだ。


これ一体、どうすんだ? ってのが2008年問題。


ここで不思議に思ったことがある。2007年問題と2008年問題っ
て直結してますよね。なのに、勉強が足りないだけなのかもしれないけ
ど、そのことがあまり指摘されていないみたい。


どういうことか。


団塊世代が定年を迎えるということは、彼らが負担していた所得税が減
るってことじゃないの。しかも、彼らが負担していた所得税は、単純な
人口比以上じゃないのか。定年前の何年かは所得が減っていると想像さ
れるけれど、それでも平均すれば20代、30代よりは高額所得のはず。


ということは、2008年には税収は減り、にもかかわらず借金返済額
は大幅に増える。団塊引退の最大のインパクトは、破綻しかけている
(というか冷静に考えるとすでに破綻している)国家財政に、とどめの
一撃を加えるということなんじゃないか。


たぶん破綻を避けるためだと思うけど、所得税を引き上げるとか、消費
税率アップの話が最近よく新聞にでている。ではそれがどのぐらいのも
のなら、何とか財政破綻を避けられるのか。


先ほどの単純計算でみてみる。収入が団塊引退で若干減り、支出は減ら
すことができないと想定する。


2004年度:収入45万、支出64万、借金返済17万
2008年度:収入43万、支出64万、借金返済40万


61万足んない。だからといって、こうなったらもう誰も61万も貸し
てくんないかもしれない。とはいえ日本は特殊な国だから、それでもま
だ銀行が(みんなが預けているお金の運営先として)国債を買うかもし
れない。それなら増税しなくていい。


いくら何でも、その借金は引き受けられませんよ。返してもらえる可能
性があまりにも低いじゃないですか。せいぜい、これまでと同じぐらい
にしてください…ってことになれば、どうなるか。赤字国債を発行でき
る額が04年度と同じ36万円とすれば、25万円足りないから、その
分を税金あげてまかなっちゃえとなると58%(ホントかよ?)の大増
税。


とんでもないことになると思っているのは、私だけでしょうか。それと
も賢い人(=断片情報から状況を読み取る力のある人)、お金持ち(=
いろんな情報をつかめる立場にある人)、政治家や官僚(=もっとも真
相を知り得る立場にある人)などは、すでに日本を見限ってたりして。


資産家などが自分の資産を海外へ移転させているって話があるけど、案
外本当なのかも知んない。





本日の稽古:

  

通貨が堕落するとき

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