男は靴下でキマルか


絶対にすね毛を見せてはいけない。


以前勤めていたデザイン事務所の社長が、口癖のようにいっていた。スー
ツの裾からすね毛がのぞいたりするのは、エチケット違反らしい。だか
ら彼は、夏でもショートブーツを愛用していた。


とはいえブーツを脱ぐと、意外にも白のハイソックスだったりして、ブ
ランドスーツとのアンバランスさが妙だった。それでもハイソックスが
彼のこだわりらしく、グレーや黒のナイロン製、妙な光沢があって中が
透けているような靴下だけは「サイテー」ともいってたな。確かにその
手の靴下をはいた人と夏場に座敷で同席、なんて事態だけは避けたいと
思う。


最近では、かのホリエモンの靴下も奇妙だった。ノーネクタイのスーツ
はいいんだけど、足元がスニーカー用のいわゆる「ゴーストソックス」、
そして合わせていたのがローファーだったと思う。変ですよね、これっ
て。「これがオレのファッションなんだよ」ってすごまれたら、「そう
ですか」って引き下がるしかないんだけど。


客定めをするとき、ホテルマンは足元を見るという。


靴にこだわる人は、たぶん本当にお洒落な人が多いのだろう。靴選びは
コーディネイトの締めくくり、その日の装いに合わせて、スタイルや色、
素材などを選んでいるはずだ。だから足元をみれば、その人の感覚や、
もしかしたら経済力までわかる、のかもしれない。まさに『神は細部に
宿る』のだろう。


だが、案外、靴下は盲点だったのかもしれない。そもそもそれほどの選
択肢がなかったのだから。


そんなことを考えながら、電車に乗ったときなど人の足元を見ていると
なかなかおもしろい。スーツ、シャツ、ネクタイのコーディネイトは決
まっているのに、足元がダメダメじゃ〜んってのが、案外、若いサラリー
マンに多い。でもって、逆はないんだよね。せっかく足元バッチリなの
にそんな服着るかぁ?ってケースはないな。


「じゃ、お前はどうなんだよ」と問われると、お出かけのときはほとん
どローファー。で靴下は、色合わせにちょっとだけ気をつけてるって程
度。だってシャツとかパンツがね、ぜ〜んぜん安物なんだから、足元だ
けこだわっても意味ないじゃんと。だからといって靴下や靴がだらしねぇ
なと思われるのもヤダから少しだけ気、使ってます。











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