なぜセブンイレブンは強いのか


平均日販64万円(日経流通新聞7月27日より)。


前年対比では1.5%のマイナスとなっているが、依然としてコンビニ
大手の中では圧倒的な強さだ。二番手のローソンとは実に15万円も差
が付いている。セブンイレブンの強さの秘密は何だろうか。


平均客単価は649円。1店あたり平均来店客数は986人である。ち
なみにこれもローソンと比べるなら、客単価で50円、客数で170人
の差が付いている。売上=客単価×客数であるから、ローソンとの差は
どうも客数の差が大きく響いていることがわかる。


では、人はセブンのどこに価値を見出しているのだろうか。


セブンにあってローソンにないものが二つある。一つは宅急便の扱い。
セブンはヤマト運輸を扱っており、逆にローソンはゆうパックである。
ローソンは昨年ヤマトとの契約をゆうパックに乗り換えた。
もう一つはATM。セブンでは設置店舗が全体の約90%、一方ローソ
ンは44%と約半分だ。


これが一日あたり客数で170人の差につながっているのだろうか。
そうは思えない。


では商品だろうか。高級おにぎり、ラーメンなどのメーカーとのタイアッ
プ開発商品、そしてお弁当。このあたりについては、個人的な感覚だが
セブンの方が優れていると思う。そして、こうした商品類がコンビニの
中核商品でもある。


となると、やはり商品力の違いが大きそうだ。加えてセブンで強調され
るのは販売機会ロスである。何よりも欠品を極力嫌う。お客様がせっか
くお店にきてくれたのに、買おうと思っていた商品が切れている。販売
機会ロスというが、これはセブンサイドからのものの見方。お客様から
すれば利便性を求めてコンビニに来ているのに、大きな時間のロスとな
る。


こうした事態を極力避ける。これがセブンのコンセプトである。そのた
めには発注の精度を高めなければならない。だからいち早く情報投資を
積極的に行い、もっとも顧客に近いスタッフが発注できるシステムを整
えてきた。その結果、セブンに行けば欲しいものがあるという安心感を
客に与えている。セブンイレブンはコンビニではなく、IT産業だとい
う人もいる(私が勝手に師と崇めている人・企業価値部門代表の板倉雄
一郎氏
http://www.yuichiro-itakura.com/archives/2005/07/04-0514.html


教科書的に考えれば、こうなるのだが、はて。これで当たっているのだ
ろうか。


最近、取材したあるベンチャー社長が、物事には必ず原因と結果がある
と熱く語っていたのがとても強く印象に残っている。だからセブンがロー
ソンよりも日販で上回っている結果にも、必ず原因があるはずだ。
http://7starventures.com/archives/2005/07/satos_dialogue_3.html


原因は商品力と品揃え。これでいいのだろうか。探っていくと、もう一
つ大きな違いがある。トップだ。


セブンは鈴木敏文氏。ローソンは新浪剛史氏。この二人のどこが違うの
かといえば、事実としてわかっているのは年齢だ。鈴木氏は1932年
生まれ、新浪氏は1959年生まれ。もしかするとトップの年齢が原因
の一つではないか。それも中核である食品の商品力の、と考えるのは飛
躍があり過ぎるだろうか。


セブンでは新商品を出す際に、毎日のように鈴木氏が試食をするという。
そして鈴木氏がOKを出した商品がオリジナルの新商品として採用され
る。ローソンの新商品採用システムでも同様にトップの意見が反映され
るとすれば、トップ判断の違いが商品力に反映されている可能性もある。


鈴木氏、新浪氏、いずれもいろんなメディアで取り上げられているが、
残念ながらその食生活についての記事を目にした記憶はない。だから、
これはあくまでも推測に過ぎないのだが、案外、こんなところに原因が
あったりするとおもしろいなと思う。






本日の稽古:

  

「原因」と「結果」の法則

「原因」と「結果」の法則