寿司屋の新しいビジネスモデル


寿司が好きだ。


大好きなんだけど、気安く食べられる店になかなかあたらない。といっ
て、おいしくない寿司は食べたくない。ついでにいっておけば回転寿し
は素晴しい発明だと思うけど、あれを寿司と呼んじゃいかんでしょう。


もちろんお金に糸目をつけないとなれば、うまい寿司はいくらでもある
(のだろう)。が、そんな時価ばかりの店にすっと入れるほど懐具合に
ゆとりはない。それに、そんな店は客が気を遣ったりするケースも多い
(らしい)。あるいは常連さんばっかりで、のれんをくぐった瞬間「誰、
これ?」光線を全員から浴びせられまくったりして。


とにかく。うまい寿司屋は値段が高くて、敷居までやたら高いのだ。


たとえば、こんな店。確かに寿司は逸品だ。だけども握ってくれる職人
さんが気難しそうで、だから、こんな食べ方・頼み方でいいのかなんて
妙に気を遣ってしまって気疲れしてしまったりする(こともあるそう
だ)。


通ぶって出されたすしを手で持ったはいいが、ネタの方を醤油につけよ
うとしてシャリがボロッとこぼれでもしたら…。とか、いまガリをつま
んだ時、かすかににらまれたよな。あれってきっと、このタイミングで
ガリなんか食うんじゃねえよって怒ってんのかな…。とかね。


いやいや、そんなことないんですよ。どうぞ寿司なんて好きなように召
し上がってくださいな。なんてニコニコしてくれるお寿司屋さんに巡り
会った記憶はないな、残念ながら。


だから、消費の牽引役としてあれだけもてはやされているF1層も、寿
司屋(それもカウンターだけの店は特に)だけには出没していない。と
いうことはですよ、ここにはっきりとしたマーケットがあるわけです。


そう考えたのが、築地玉寿司(http://www.tamasushi.co.jp/)の4代
目・中野里陽平社長だ。中野里氏は、アメリカに留学し、ホテル、レス
トラン、ツーリズムなどのマネジメントを学んで戻ってきた。寿司屋を
レストラン業として捉え、そのマーケティングを考えた時、課題やアイ
デアがいくらでも見えたという。


ただし、寿司は職人さんの世界である。職人さんには、代々受け継がれ
てきたやり方ってものがある。腕一本で勝負している彼らに理屈はなか
なか通じにくい。アメリカ帰りだか何だかしらねえけど、寿司を握れも
しねえ御人のいうことは、いくら社長の息子さんだからって、そう簡単
には聞けませんぜってなもんだ。


が、中野里社長は、根気づよく職人さんとコミュニケーションをとって
理解を得ていった。年の差が20以上ある年配職人さんと打ち解けるた
めには、それなりの時間も必要だった。しかし、お互いの思いが通じ合っ
た時、玉寿司はおそらく、日本で初めて本格的にマーケティングを導入
した寿司屋となった。いま破竹の勢いで業績を伸ばしている。


そんなストーリーの詳細に興味がある方は、ぜひ、下記のサイトにアク
セスしてみてください。ちょっと先になるけれど9月9日からのブログ
対談に中野里氏が登場する予定です。
http://www.7starventures.com/



<おまけ>
めちゃ安、かな・うまって寿司屋なら知ってる。『春駒』とか『奴寿司』
など大阪・天満の寿司屋だ。日曜日の夕方などは、たいてい行列ができ
ている。


ここもビジネスモデル的に分析するなら、仕入れにボリュームディスカ
ウントを効かせているから、かなりいいネタを安く売れるのだろう。ト
ロなんかも本当においしい。ただし混んでるときはゆったりと味わう雰
囲気じゃないので、行くなら平日の夕方早いめがオススメだ。





本日の稽古: