なぜ奈良は鍵忠なのか


政治ネタには極力触れない。


ブログを始めるときの基本的なスタンスである。が、今回だけはごまめ
の歯ぎしり的意見でも、ひと言記しておきたい。


奈良一区では鍵田忠兵衛氏が自民党公認となった。本来なら森岡正宏
の地元である。前回ここから出馬して落選した高市早苗氏といわゆるコ
スタリカ方式で選挙区・比例区を分け合っていた。


だが森岡氏は郵政民営化法案に反対した。そこでマスコミに言う刺客と
して立てられたのが鍵田氏というわけだ。事情をご存じない方のために
説明しておくと、鍵田氏は7月まで奈良市長を勤めていた。しかし、氏
は父親から引き継いだ税金の未納問題などがあり、市長不適格者の烙印
を捺され、再選挙の末に破れた。


つまり選挙区の約半数の人からノーを突きつけられた人物を自民党は公
認したことになる。これが何を意味するのか。


今回の選挙にかける小泉首相の思いが、この鍵田氏公認に象徴されてい
るように思う。鍵田氏は、まさしく「刺客」。つまり森岡氏と刺し違え
ることが、鍵田氏に与えられた使命なのだ。


少なくとも奈良一区で自民党は必勝を期してはいないと思う。本気で勝
ちたいのなら、市長選で落選したばかりの鍵田氏を担ぎだしはしないだ
ろう。小泉選挙の目的がここではっきりと読める。


それは旧・自民党体質をひきずる議員の一掃だ。うがちすぎた見方かも
しれないが、鍵田氏に託された役割はただ一つ。守旧派森岡氏を当選
させないことに尽きるのではないだろうか。


そのためには自民票を割る。


結果的に鍵田氏が当選するかどうかは問題ではない。狙いは、本来なら
森岡氏に集まったであろう自民票を分散させることにある。おそらく奈
良一区では前回同様、民主党の馬淵議員が勝つだろう。


それでいいのである。間違っても森岡氏を勝たせさえしなければ、それ
で良しとする。ほかの選挙区でも同じように守旧派自民党議員を当選さ
せないことだけを狙いとして対立候補を送り込んでいるところが相当あ
るはずだ。これこそが今回の小泉解散の真意なのではないか。


大局的にみれば、今回の選挙の本質は自民党的なるものの破壊にあるよ
うに思える。もともと最低限の課題である過半数の確保はメドが立って
いるのではないか。それよりも本題は、古い体質を引きずる守旧派自民
党の一掃。奈良一区の鍵田担ぎだしには、そんな意図を読めた。





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