シソーラス辞書の使い方


日本語大シソーラス―類語検索大辞典―

日本語大シソーラス―類語検索大辞典―


シソーラス辞書、すなわち類語辞典


たとえば「関係」の類語には「係わり合い」「掛かり合い」「掛け合
い」「掛け構い」「引っ掛かり」「間柄」があることを教えてくれる辞
書だ。


なんで、こんな辞書を使うのか。個人的な目的は、ただ一つ。読んでも
らいやすい文章を書くためだ。つまり、言いたいことをもっとも的確に
表すことば探しがいちばんの目的である。


『〜がとても重要だ」と書く時にはたして「重要」で伝わるのかどうか。
重要を言い換えるなら、どんなことばがあるのか。ちょっと古い表現に
なるかもしれないけど、なるほど「由々しい」なんて言い方もあるんだ。
とか、文脈によっては「致命的」を使う手もあるな、その場合は、文章
そのものをどう変えればいいんだとか。


ことばを選びながら、文章を考え直すキッカケにも類語辞典はなる。


同じことばを繰り返して使わないためにも、この辞典は使える。もちろ
ん使うだけでなく、読み物としてもとてもおもしろい。というか、もの
すごく頭を刺激される(と書こうとして、ものすごくは陳腐だなあと調
べてみると、頗る付き・甚だしい・この上なく・こよなく・大いに、な
んて類語があることがわかる)。


そもそもシソーラス辞典は、ロジェ・シソーラスという人が作り出した
ものだ。今からおよそ150年前のことであり、英米では文章を練ると
きに普通に使われている。ところが日本語のシソーラス辞典は、最近ま
でなかった。


いま使っているのは『日本語大シソーラス』。これを作るのに、編者の
山口翼氏は30年をかけている。まず広辞苑をはじめとする日本語の辞
書を丹念に読み込み、ことばを分類しながら、関係のあるものを整理し
……と、気の遠くなるような作業を、緻密にこなして作られてきた。


文章を書くときに必ずこの辞書を使っているとまではいえないのだけれ
ど、推敲するときにはできるだけことばを選ぶようには心がけている。
『日本語大シソーラス』、値段はちょっと高いんだけどたぶん一生使え
ると思えば十分に元は取れます。どんな形であれ、文章を書く機会のあ
る人にはおすすめです。もちろん読み物としてもおもしろいです。




本日の稽古: