郵政事業の利益率は


年間売上20兆6333億円。


お化け企業である。日本郵政公社の財務資料に書かれている数字だ。こ
れを約27万1000人の職員(昨年末データ・『ウェッジ』9月号よ
り)で上げている。単純計算すれば、一人当たり年間売上が約7600
万。


詳細を見ると、売上の大半は簡易生命保険業務によるもの、さらに郵便
貯金業務ものぞけば、郵便業務での収益は1兆8905億にとどまる。
これまた単純計算すれば、一人当たり売上は697万円に激減する。


もちろん27万人の職員が全員、郵便業務に関わっているわけではない
だろうから、この単純計算にはほとんど意味はない。一方人件費を見る
と、全体で2兆4352億円。こちらは単純に一人当たり898万円と
なる。効率性には少しばかり「?」マークがつきそうだ。


もう少し数字を見ると公社の総資産は404兆円。日本のGDPが200
1年度で502兆円だから、この総資産がいかに桁外れに大きいかが想
像できるだろう。郵便貯金の残高は220兆円。これはいわゆる日本の
4大メガバンクがもつ貯金残高の合計を上回る。簡易保険の総資産は1
20兆円にのぼり、これまた日本生命、第一生命、明治安田生命、住友
生命の大手4社の合計額に匹敵する。


これだけスケールのでかい資産となると、運営する側の感覚が麻痺しな
いかとよけいな心配をしてしまう。仮に郵貯220兆円の運用を任され
ていたとして、0.1%のミスがどれだけになるか。2200億円です
よ。これが、どれだけのお金なのか想像できますか。


郵政問題の本質は、その巨額の資産がまともに運用されているかどうか
にあると思う。ものすごくストレートにいうなら、どれぐらいの利回り
を生んでいるかってことだ。ちなみに4大メガバンクは、軒並み黒字回
復を遂げている。きちんと利益を出し、注入された公的資金を返済して
いる。郵貯やいかにってところだ。


ここで本来なら追求しなきゃならないのは、資金の運用先である。郵政
公社の資金は、政府系金融機関特殊法人に流れている。これが何を意
味するのか。ものすごく控えめにいって資金のいくばくかは不良債権
なっているんじゃないだろうか。


だからなのだと思うが、郵政公社には巨額の税金免除が行われている。
免除額は約7000億にもなる。あくまでも仮の話だけれど400兆円
も資産を持っているなら、それを1%の利回りで運用すれば年間4兆円
の利益を生むはずだ。だから、本来ならその利益から税金を徴収すべき
じゃないのか。


ちなみに国鉄が民営化されてできたJR東海総資本経常利益率は2.
2%である。夢みたいな話かもしれないが、郵政公社が同じだけの利益
率を上げてくれれば約9兆円もの利益になる。平成17年の日本の歳入
予算が44兆円ぐらいだから、郵政公社がまともな利益を上げれば、国
家予算は劇的に健全化されるだろう。


というようなことを、どこの政党もいってない。自民党郵政公社の資
本を民間に流すとはいっているけれど、どうやってやるのかまでは書い
てないようだ(自民党のホームページをざっと見ただけなので、もしか
したら、どこかに書いてあるかもしれません)。


現実に行われていることは、税金免除である。民間企業で普通に考えれ
ば、税金が免除されるのは赤字の場合以外ありえない。一体どうなって
いるのでしょうか、郵政公社のビジネスモデルは。


というか400兆円もあるはずの資本の実態、あるいは少なくとも22
0超円の郵貯の運用利回りがどうなってんのかぐらい教えてもらいたい
もんだ。でも、そんな恐ろしいこと教えては「もらえない」んだろうな、
絶対に。





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