大根おろしの味がわかるのは


すりおろしてから1分が食べごろ。


7月6日にも取り上げた大戸屋はこのたび、一人分ずつの分量をすりお
ろせる大根おろし機を開発した(日経MJ9月26日号)。辛みが一番増
すのが、だいたい1分後。一人ひとりのお客様に食べごろの大根おろし
を提供するための設備投資である。


同社ができたて感で差別化を図ろうとしていること、それがターゲット
にふさわしいかどうかに疑問の余地があることなどを前回、指摘した。
http://d.hatena.ne.jp/atutake/20050706



同社の社長によれば「外食産業には徹底的な差別化が必要だが、チェー
ン店では素材や職人の腕では差別化できない。だから厨房機器の見直し
で差別化を図ろうとしている」らしい。


要するに味での差別化である。しかもチェーン店間での競争という限ら
れたマーケットで。価値に絞って考えれば、大戸屋で得られる価値は
「おいしさ」ということになる。やはりここにはリスクがあるような気
がしてならない。


大根のすりおろしの味がわかるお客さんは誰なのか。そんなお客さんが
どれぐらいいるのか。そして、そんなお客さんはそもそもチェーン店で
食事をするのだろうか。これが懸念材料である。


団塊の世代、あるいは今の30代後半以上の世代を対象とするのなら、
大戸屋の商品戦略は間違っていないと思う。であるなら、次はプロモー
ション、あるいは店舗出店(=プレイス)の部分での差別化も必要なの
ではないだろうか。


要するに「うちのお店に来ていただきたいのは、あなたですよ」と言っ
たメッセージを、ターゲットに対して発進するのである。だからお店も
このあたりに出すのですよと。それがあるのかどうか。


大戸屋の展開をみればセグメントはできていて、ポジショニングもはっ
きりしていると思う。ただターゲットがいまいちあいまいに思えて仕方
がない。そこが惜しい。




昨日の稽古:

  600メートルほど泳ぎました