百円サービスの価値は


一分100円。


ポイントカットをしてくれるヘアサロン『カットネットハウス』が銀座
にできた。お客さんは3分から10分ぐらいでさっと髪を切って出て行
くらしい(日経新聞10月13日号)。だから300円から千円ぐらい。


なんじゃ、それ。


確かQBハウスという新しいやり方の散髪屋さんが数年前にできていて、
そこの価格が10分1000円。単価で考えれば同じだ。でも、1分百
円ってどうなのよ。


もちろんイスに座って、布をかけてもらってまでの準備時間はカウント
しないんだろうな。あとはカットを始めるときにタイマーをセットする
のだろう。でもなあ、1分でどれだけ切れるんやろ。右側だけ切ったと
ころで「はい、おしまい。時間ですから」なんて、ことはないんだろう
か。


逆に6000円払うから、きっちり1時間やったってや、みたいな客に
はどう対応するんだろう。などと興味津々。そう考えれば、ここには数
字のマジックがあることがわかる。普通の散髪屋さんは、うちの近所な
ら相場は、4000円ぐらい。これでだいたい一時間ぐらいだ。


もちろん、ひげ剃り、顔剃り、シャンプーからちょいとしてマッサージ
までやってくれる。これで一分あたりの時間単価は67円。コストパフ
ォーマンスは、圧倒的にこちらの方が高い。


この場合、対価を払って得られる価値は、髪を切ってもらうことプラス
顔もすっきり、気分も少しすっきりみたいなものだ。では1分100円
のカットショップで得られる価値って何だろうか。便利さなんだろうか。


しかも髪を切ってもらう場合は、理容師の技術も問題になる。1分百円
のカットショップに腕のいい職人がいるとは思えない。だってどうがん
ばっても1時間6000円がマックスな売上となるわけで、現実的には
もっと低い。これが散髪屋さんの場合だったら、パーマだとかカラーリ
ングだとか付加価値を付けて、時間単価を上げることができますから。
一日の売上予測から雇うべき職人さんの人件費も計算される。となれば
そんなに高給は払えないでしょう。


とはいえサービスを時間単価で分割して提供する発想自体は、おもしろ
いと思う。問題は、そのサービスでお客様が価値を感じてくれる最小時
間をどれぐらいに設定すべきなのか。ここだろう。


そのサービス、どれぐらいの時間でお客様に価値を認めていただけます
か。こんな問いをサービス業に関わる人はしてみると、新しい価格設定
のヒントが得られるかもしれない。



昨日の稽古:

  一日で約2万6千字、原稿を書きました。
  ということは、たぶんキーボードを打った回数にして5万回。
  これって、前腕部とか指とかのトレーニングになってねえか?