鏡の前の百本


空手の命は組手にあり。
組手の命は基本にあり。


うろ覚えなので、もしかしたら間違っているかもしれないが、確か大山
倍達がこんなことをいっていた。どうにも壁に当たっていて、ちっとも
進歩していない、それどころか下手になってさえいるのは、基本稽古を
やっていないからじゃないかと思い当たった。


空手を習い始めたのがちょうど4年前。最初は正拳突きさえぎこちなか
った。回し蹴りなどは、全然、回し蹴りになっていなかった。40過ぎ
て始めたんだから、そんなに簡単には技をマスターできっこない。そう
思ったから、自宅道場(というか2階の一室ですね)で一生懸命、基本
稽古をした。


窓ガラスに自分の姿が映るように、わざわざ雨戸を閉めて。汗びっしょ
りになって、毎日1時間。


その成果はあったのだ、確かに。ところがちょっとそれっぽい形をでき
るようになると、基本稽古をやらなくなった。家でやっていたときは、
たとえば正拳突きでも百本。蹴りも百本とたくさんやることにしていた。
それもできる限り最後まで力一杯で。


これも何かの本の受け売りだけれど、とにかく全力でやり続けることが
いいとあった。それで疲れ切っても全力を続けているうちに、自然に力
が抜けてよいフォームになるらしい。


そこでここのところ、また基本稽古をやっている。とはいえ二階道場は
本に占拠されてしまったので、玄関の狭いスペースで姿見に写しながら
だ。場所がないから蹴りは無理、突きだけに絞ってやっている。


めちゃ発見がある。


ああ、突きのときは最初からこんなに肩に力が入っているわ。とか、組
み手立ちのときに、左のガードが下がっているなあ。とか、ワンツーの
後の戻り〜残心がなってないなあ、とか。


稽古慣れして、楽な方へと崩れていっていたことがよくわかる。もちろ
ん正拳中段突きをきちんと突けるようになったからといって、すぐに組
手がうまくなるわけではないだろう。しかし、正拳中段突きもまともに
突けなくて、きちんとした組手ができることもまずないのだ。


そんなことを考えながらの基本稽古、これがおもしろい。



昨日の稽古:

  腹筋、インクラインベンチプレス
  基本稽古