1匹11円のエビとは


一日約60万匹


タイから日本へ送られてくる「すし」用のエビである。すしといっても
回転寿司のこと。だから、このエビの売値は実に1匹11円だ。なぜ、
この値段かといえば、回転寿司大手からの指値だという。


基本的に回転寿司は原価率を30%程度に設定しているらしい。すると
一皿二貫で100円だから、一貫あたり50円の原価は15円に押さえ
なければならない。そのうちシャリが4円となると、上に乗せるネタは
11円という計算だ(日経新聞11月11日号)。


11円のネタですよ。ほんと、すごいなあ。素直に驚く。もちろんすべ
てのネタが同じ値段というわけではないのだろう。とはいえ、ネタの値
段は高くてもせいぜい15円ぐらいまでで押さえられるはずだ。だって、
仮に25円ぐらいのネタになってしまうなら、これを原価率30%とす
るなら、売価を一貫100円にしないと合わなくなってしまう。


それって、一体どんな魚やねん! と突っ込みを入れたくなるけれども、
それは本題にあらず。


すごいのは1匹11円と指値されて、それでも出荷できるタイの業者の
方だ。だって指値されて、それでも平気で出してくるってことは(記事
には苦笑いしながらって書いてあったから平気じゃないのかも知れない
けれど)、それなりの利益が出ているってことでしょう。


どんな世界や。11円×60万匹、一日の売上が日本円で660万。月
額に直せば約2億、年商24億。そう考えると、それほど巨額というわ
けでもない。それでもタイ的には充分なんだろうな。


調達先は86ヘクタールの敷地に38の養殖池を持っているそうだ。一
つ1ヘクタールの池で約200万匹のエビが養殖されている。5ヶ月か
けて養殖したエビを、手作業で皮むきや調理をして箱詰めし、日本へ送
る。


タイから日本へ輸出されるのはエビに限った話ではない。アフリカのタ
コやイカアイスランドなど北欧の甘エビ(そんなところにおるんかい
な、甘エビが)、ドーバー海峡のアジもそうだ。


こうした魚介類が、回転寿司の寿司ネタとして使われているのだろう。
そしてタイが目指すのは『世界のキッチン」だという。


国際的に分業が進むことは、結果的に効率化につながる。マクロ経済の
教科書にはそう書いてある。いまや外食産業をそこそこの規模でやり、
利益を出していこうと考えるなら、食材は海外からの輸入に頼るしかな
い。これが外食産業の一つの制約条件になっているのだろう。


世界の工場を使いこなせる企業が、製造業では勝ち組になる。そういわ
れている。ということは、外食産業での勝ち組に入るためには、世界の
キッチンをどう使いこなせるかにかかっているのかもしれない。



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