時間もお金もかかるクリーニング屋さん


平均客単価2万円。


ウッソーみたいなクリーニング屋さんがある。ブラウス一枚のクリーニ
ング代が1300円と高いのだ。しかも「朝出すから、夕方には上げて
おいてね」なんて要望はまったく通じない。取次店ではなく宅配専門で
やっているから。


単純に言うと、お金も時間もかかるクリーニング屋さんなのだ。ところ
が、今期は前年対比41%増の売上を急速に伸ばしている(日経MJ新聞
11月14日)。これが京都のハッピーだ。


ハッピーが提供している価値は何か。大切な衣類をていねいに扱い、本
当にきれいにしてくれることにある。それが差別化された付加価値にな
るのか。なるのである。


ていねいに扱う証に、預かった衣類を電子カルテに記録する。宅配便で
届いた衣類を、そのサイズ、汚れの程度など百項目に渡ってチェック、
その記録を元に納期や料金を見積もる。見積もった内容をわざわざ電話
で顧客に確認し、同意を得てからクリーニングにかかる念の入れようだ。


しかもクリーニング技術が高い。他のクリーニング店では落とせなかっ
た汚れやシミまできれいにしてくれる。これも価値である。


そもそもクリーニング屋の価値とは何か。汚れた服をきれいにしてくれ
ることだろう。ところが近所のクリーニング屋さんはどうか。シャツな
どを出すと、それなりにきれいになってはいるようだけれど、よく見る
と首筋の汗の汚れなどが完全に取れていなかったりする。


その上、高い服を出して大丈夫かと思うこともある。取り次ぎの人は受
け渡しをするだけで、そこから先はクリーニング工場(ってあるのかな
?)に送られて、高い服も安い服も一緒くたにされているんじゃないか、
なんて不安感がある。


もちろん預けるときにひと言注意を促しておけば、それなりの対応を取
ってはくれるのだろうが。それでも仕上がってきたシャツやパンツ、あ
るいはジャケットにも平気でタグをホッチキス止めしている。あれに無
神経さが象徴されていると思う。


とても細かいことだけれど、これは服を大切にする人にとってはいやだ
ろうなあと思う。その不満を突いたわけだ。


コストを下げ、スピードを上げるために機械化、自動化が進むのは当然
の流れ、そのことに異を唱えるわけではない。むしろ、そこにチャンス
が生まれているのだと思う。人の手間をかけることによって繁盛してい
るサービスに管理者付き洗車場の例を挙げたことがある。
http://d.hatena.ne.jp/atutake/20050808/1123447475


逆張りにITを絡ませる。しかも、その逆張りは、そのサービス本来の価
値を徹底的に問い直す。ここにチャンスありの好例だと思う。



昨日のI/O

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今いくよ・くるよ対談原稿


昨日の稽古: