ぐるなびは勝ちきれるか


4万6000店vs1万5000店


全国の飲食店を紹介するメディアの二強が「ぐるなび」と「ホットペッ
ッパー」。この二つを比べると、ぐるなびがネット、ホットペッパー
情報誌とメディアが違う。またサービスのスタート時期もぐるなびの方
が5年先行しており、その結果が掲載店数4万6000店と、ぐるなび
の3倍強となっている。
日経MJ新聞11月16日)


ちなみに全国の飲食店数は約40万店。ということはシェアで考えるな
ら、ぐるなびが11.5%、ホットペッパーが3.75%となる。実際
には両メディアに重複して出稿している飲食店が大半だろうから、単純
にはこうしたシェアとはならないはずだ。


しかし仮にぐるなびのシェアが11.5%だったとしても、クープマン
の目標値でみれば、未だ市場的認知シェアにとどまっている。ホッペッ
パーがまだまだ逆転のチャンスありと考えるのは、おかしくもなんとも
ない。


ぐるなびは4万6000店に達するまでに、9年をかけている。単純計
算では年間5000店強の新規掲載があることになる。ホットペッパー
は4年で1万5000店だから、年間3750店。


とはいえ、これまで両者はメディアが異なるために競合関係は表面化し
ていなかった。もちろん飲食店の販促予算は限られており、その分捕り
合戦はあっただろう。しかし余力のある、つまり勝ち組飲食店ほど両メ
ディアに出稿していたと推測できる。


であれば、紙とネットの両方を押さえたいと考えるのは、自然な流れだ。
その場合、ネットから紙への進出、紙からネットへの進出のどちらが簡
単か。これは明らかに紙からネットへだと思う。要するに、追加コスト
を考えたとき、どちらが大きいかを考えれば答えは出てくる。


ということは危機感が強いのは、ぐるなびの方だろう。では、ぐるなび
がとるべき戦略は何か。まず目指すべきは相対的安定シェアの獲得だろ
う。クープマンによれば、これは41.7%。もちろん40万店の飲食
店のうち年間60万円の広告予算をかけられる店が、全体の3分の1の
13万3000店ぐらいだと仮定するなら、目標は5万6000店ぐら
い。


あと1万店である。ぐるなび自体は情報掲載店を早いうちに10万店ま
で増やすことを狙っている。が、これは諸刃の刃となる危険性もある。
なぜなら同一エリア内での掲載店数がふえることは、店側からすれば競
合が増えることにつながるからだ。この矛盾をどうクリアするのか。


あるいは、最近言われだしたロングテール理論をぐるなびに応用すれば
どうなるのか。掲載料金を下げて、掲載店を増やしていくオプションも
考えられるだろう。ただし、この戦略はGoogleとの時間の戦いになる可
能性もある。


もちろんこの手の情報メディア戦争では常に勝ってきたリクルートも何
か策を考えているはずだ。飲食店紹介メディアをめぐる争いは、この先
1年ぐらいが勝負。注目して見ていれば、おもしろい動きがいろいろ出
てくると思う。




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ビーイング・デジタル(〜96)』ニコラス・メグロポンテ
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