子育ての楽しさにビジネスチャンス


出生率1.9。


1994年には1.65まで落ち込んでいたのが、手厚い手当と充実し
た休暇制度によって回復した。フランスの話だ(日経MJ10月8日)。


これにより大人の街・パリが変わりつつある。犬連れはよくても、子連
れはダメ、なんて偉ぶってたレストランが、子ども用メニューを用意す
るようになってきている。しかも、ここがさすがフランス、といいたく
なるのだが、そのメニューは決して子どもだましではない。本格的に子
どものためを思って考え抜かれたメニューとなっている。


こうした変化を引き起こすのは、まず生活者の方だ。「BOBO」と呼ば
れる(Bourgeois Bohemian)人たち、要するにお金持ちの自由人やク
リエーター、起業家のことだが、彼らが子育てを楽しむようになった。
ここが起動力となっている。


なぜ、今になって子育てを楽しいと思うようになったのか。本当の理由
はわからない。もしかすると本能的な危機感があったのかもしれない。
このまま人口が減り続ければ、将来どうなるかといった漠然とした不安
がバネになっている可能性がある。


あるいは、そもそも人間の遺伝子には子育ての欲求が刷り込まれている
はずだから、その本質的な欲求が復活したのかもしれない。


いずれにしても、明るい話だと思う。未来に希望を持てるからこそ、人
は子育てに励むのだから。


子育ては楽しく、そこには強烈な喜びがある。子どもをお持ちの方は、
みんな納得してくれるはずだ。ものすごく月並みな表現しかできないけ
れど、子どもが日々成長していく姿を見ることほど、うれしいことはな
い。いいなあと思う。人ってすごいなあと感心する。


ひるがえって日本はどうだろうか。マーケティング的には、相変わらず
有望市場は可処分所得や可処分時間の多いシングルやDINKSとされてい
るようだ。その背景にあるのは、子育てはたいていの場合、女性に負担
が大きく、さらには時間も含めてコストがかかる、といった考え方だろ
う。


でも、子育ては楽しい。子どもを持っていないカップルは、この楽しさ
に、まだ気づいていないだけじゃないかとも思う。そう考えれば、さま
ざまなサポートシステムさえ整えば、可能性はあるんじゃないか。


自分の一生のすべてを子育てに集中することもないわけですよね。子ど
もが親を必要とする10年程度だけでも子どもと真剣に向き合うことは、
きっと人生を豊かにすると個人的には思います。


日経が「日経Kids+」なる雑誌を出してきた。もしかしたら日本の子ど
もマーケットも潮目が変わりつつあるのかもしれない。




昨日のI/O

In:
『ゼミナール経営学入門(127〜146)』
カッコウはコンピュータに卵を産む』
Out:
M社社長インタビューメモ
Q社会社案内キャッチコピー

昨日の稽古: