1000冊どうやって読むのやろ?


1000誌以上もの海外メディアからニュースを抜粋


と昨日、簡単に書いてしまった後で、ところで『クーリエ・ジャポン
って、一体どうやって作っているんだとふと疑問に思った。


もし自分が編集部の人間だとすれば、世界各国のメディアを千誌集めて、
そこから記事を作るなどという企画には、「めっちゃ、おもしろそうや
けど、そんなんムリっ!」と反応するはずだ。


いろんなメディアからニュースをセレクトする。いうのは簡単だけれど
ほんまにできるんかいなと。全世界からということは、いろんな言葉で
書かれた雑誌を読まなきゃならないってことだ。英語ぐらいなら、編集
部に楽勝で読みこなせる人がいるだろう。フランス語、中国語ぐらいも
何とかなるかもしれない。



しかし、千種類である。中にはアラビア語スワヒリ語タガログ語
ベトナム語モンゴル語だってあるかもしれない。それら全部に目を
通すことなんて不可能じゃないのか。


と思ってちょっと調べてみると、なんだ、実はほとんどが英語誌なので
すね。あとはスペイン語、フランス語、ポルトガル語に中国語、ドイツ
語、ロシア語、韓国語あたりでほぼカバーできるようだ。なるほど。


それから奥付をみるとTransratorがたくさんいる。その数、実に22人。
この人たちが、せっせと下訳をやっているのだろう。単純計算で一人あ
たり40誌。中には新聞のように毎日発行されるものもあれば、月刊誌
もあるから、実際の数はもっと少ないとは思うけれど。


それにしても力業ではある。


特集については、そのテーマにひっかかりそうな記事を片っ端からあた
っていくのでしょう。これは作業段階での難易度はそんなに高くないと
思う。おもしろそうな視点で書かれた記事を選んで、あとは翻訳するだ
けのことだ。


それよりも大変なのは、バラエティニュースの方じゃないだろうか。こ
れに関してはたぶん、まず各メディアのインデックスとリードぐらいの
下訳をみて、そこからおもしろそうなネタを引っ張り上げる。然る後に
本文に当たっていくのだと勝手に想像する。この作業は慣れるまでは当
たり外れがかなりあるように思う。


見出しとリードを読んだ限りでは「これっ、いただき」なんて思った記
事が、本文を読んでみると「なんじゃ、これ」ってパターンですね。


月2回発行だから、ある程度のタイムリー性も編集条件の一つとなって
いるはずだ。そう考えるとかなりハードな仕事だろうな、自分が編集部
の一員だったら、すぐに悲鳴を上げるかもしれないなと思ったりする。
まあ、そんな心配はそれこそ杞憂でしかないのだけれど。


となると、これも余計なお世話だが、採算はきちんと取れているんだろ
うか、どれぐらい継続発行できるんだろうかと思ったりもする。スタッ
フが多く(イコール経費がかかるってことだ)、広告が少ない(すなわ
ち広告収入を期待できない)割には、定価が安い(一体、何部発行して
いるんだ?)。


しかも申し訳ないことに、私はこの雑誌を買っていない。一昨日泊まっ
たホテルで無料配布していたのだ。今まで世の中になかったものを認知
してもらうのだから、サンプル配付は必要だとは思うけれど、それもコ
スト要因になる。


ともあれ今の日本には、こうした複眼的な視点のあることを気づかせて
くれるメディアの価値は極めて高いと思う。だから『クーリエ・ジャポ
ン』は、ぜひがんばって継続発行してほしいとも思う。



昨日のI/O

In:
I社社長インタビュー
『GQ』1月号
『大人のための文章教室』清水義範
Out:



昨日の稽古:

大人のための文章教室 (講談社現代新書)

大人のための文章教室 (講談社現代新書)