資本主義ってどう教える?
証券口座数1500
マネックス・ビーンズ証券で小中学生が開設している口座の数である。
とはいえおそらく資金の出しての大半は親だろう。でも口座を開いてい
る子どもたちの中には村上さん(ファンドの方ですね)やホリエモンみ
たいになりたいなあ、なんて真剣に考えている子もいるんじゃないだろ
うか(R25 12/1号)。
これがもし、子どもの世界でのささいかもしれないけれど確実な変化だ
としたら、すごくいいことだと思う。といっても別に、村上ファンドや
ホリエモンのやり方を賛同する子どもが増えていることを良きかな、な
どといってるわけではないので誤解ないように。
そうではなくて、お金のことを、引いては自分が暮らしている社会の仕
組みのことを幼い頃から、少しは真剣に考えるようになることをいい傾
向だと思うわけ。ほら、これまではお金のことをいうのは汚いとか、お
金儲けするのはあんまり誉められたことじゃない、なんて価値観があっ
たでしょう。
でも、それっておかしい。
我々が生きている資本主義って何なのか。その基本的なメカニズムがど
うなっているのか。最低限のことは知っておくべきだと思う。にも関わ
らず学校教育では教えてくれない。少なくとも自分自身は高校教育まで
の間で、資本主義の現実的な側面を教えてもらったことはない。
自分が、その中で生きている社会を動かしている基本的な構造ですよ、
資本主義って。それ、知らないってのは問題あると思いませんか。
じゃ、資本主義って何なんだよ。お前は、ちゃんと説明できんのかよと
詰め寄られると、45年も生きているのに、これが実は非常に心もとな
い。このことをして資本主義に対する理解のありようは推して知るべし、
じゃないでしょうか。
資本主義とは、資本を使って(=たとえば材料や設備を買って)、人が
何らかの行動(どんなものをどう創るか考えることから始まって、実際
の作業までを含みますね)をすることで、新しい価値(製品とかサービ
スの形で提供される)を産み出そうという考え方だ(もしこれが致命的
に間違っていたら、誰か指摘してください)。
大切なのは、資本は使うべきものという考え方だと思う。ものすごく単
純化していうと、資本(ニアイコールお金と考えよう)は、使わなけれ
ば社会的には何の意味もない、ということだ。だから企業が持っている
資本金は、新しい価値創造のために使われてこそ始めて生きてくる。
個人が持っているお金(個人の資本だ)も、新しい価値創造のために使
われるべきである。ここは少しイメージしにくいかもしれないけれど、
たとえば何かを買ってお金を払うでしょう。これはすなわち何らかの価
値を製品やサービスの形で提供されて、それに対価を支払うということ
です。そこで支払われた対価が、次の価値創造の原資となる。そんなサ
イクルが資本主義の基本的な構造なわけ。
だからお金をたくさん稼げる人、つまりたくさん対価をもらえる人とい
うのは、世の中にそれだけ多くの価値を提供できている人ということで
もある。本来、お金を稼ぐことには何の後ろめたさもないはずなんです。
堂々と「私は、こんなに稼いだんですよ=世の中に価値を提供したんで
すよ」といえばいいのだ。
もちろんまっとうな価値を提供もせずにお金だけを手に入れることは行
けない。これを基本的に不正という。
というような当たり前のことを、なぜ、子どもに教えないのか。と考え
てくると、どうみても今の政府じゃまずいっすよねぇ。こんなことを子
どもに教えたりしたら「公務員さんとかお役人の中には、何にも価値を
提供していないのに、ほら天下りとかいってお金だけたくさんもらって
いる人がいるよね、どうして?」なんて、子どもの素直な問いに答えら
れないじゃないか。
あるいは、中学生ぐらいの子どもに「えっとお〜、資本主義がそういう
ことなら、日本は本当に資本主義社会なんですか。中身は実は政府が管
理して決めているんだから社会主義じゃないんでしょうか」と突っ込ま
れたりして。
さらに会計制度、バランスシートの読み方や金利コストのことなどを教
えたりした日にゃあ、えらいこった。「先生、資本獲得コストとか金利
負担、将来に期待できる税収のことを計算したら、どう考えても日本は
もう破産していると思うんですけれど、違いますか」なんて、恐い質問
が起こったりして。
ともかく。子どもにきちんと世の中の仕組みを教えないといかん、そう
強く思います。
昨日のI/O
In:
『R25』
『週刊文春』
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I社会社案内コピー原稿第一稿