ネットは狭く、深く


月間940万人


米国の大学生を対象としたSNSの利用者数である。
http://www.facebook.com日経新聞12月7日)


当然、利用は無料。そして収益は広告から。昨日のエントリーでネット
での無料サービスが収益をあげるための基準が、会員数1000万人と
書いた。このフェースブックもその基準をほぼ満たしている。


実際に経営はすでに黒字。社員は55人おり、ベンチャーキャピタル
どから約15億3000万もの資金を集めている。経営者はハーバード
大学の学生(っていえばビル・ゲイツもそうだった)、たったの21歳
だって!


このビジネスのどこが差別的な付加価値を持っているか。コンセプトは
ネットを使って交友関係を全米に、あるいは世界に広げるのではなく、
その逆張りを狙ったところにある。ここから価値が生まれる。その仕組
みはこうだ。


大学生が顔写真付きの自己紹介ページを公開する。が、そこにアクセス
できるのは、同じ大学の学生か、互いに友だちと認め合った相手だけ。
ネットを使うけれど、範囲を限定するのだ。ここではもはやインターネ
ットは世界にアクセスするためのメディアとして捉えられていない。こ
のネット観がポイントなんだと思う。


ネットを使うからこそ幅広い世界とコミュニケートできると考えるのが、
これまでのネット観だとすれば、これはネットを使うけれど、その目的
は限られた相手と深くコミュニケートするため。ネットの新しい使い方
だと思う。


そして、ここがポイントなのだが、範囲を限定するということは、そこ
にアクセスするユーザーも限定されるということになる。特定ターゲッ
トに広告を打ちたいクライアントにとっては、実に効率的なメディアと
なる。フェースブックのターゲットは学生だ。学生向けの商品を扱って
いる企業にとっては、極めて効率的な広告メディアである。


どうもここにきてネットの捉え方、使い方がこれまでとは逆の方向に向
かいだしているような気がする。ネットを使っての『中入り』、ネット
を使うけれど範囲は『狭く』、ただし中身を『深く』。


共通しているのは、ユーザーは無料で使えて、収益は広告からというモ
デル。そして収益を出すための条件が会員1000万人。これを『10
ミリオンビジネスモデル』とでも呼んでやろう。こうしたモデルが出て
くれば、当然スポンサーはどのメディアに広告出稿すれば、コストパフ
ォーマンスが最大になるかを今よりもずっと意識するはずだ。


この流れはテレビコマーシャルビジネスモデルを大きく揺るがすことに
つながっていくだろう。『10ミリオンビジネスモデル』はこれから注
目だと思う。日本ならGyaoが会員数10ミリオンに到達するかどうか。
到達するとすれば、それはいつか。あるいはmixiが会員数1000万人
までいくのかどうか。


そして次に出てくるのは、どんなビジネスだろうか。




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