そんなに安くて安全は大丈夫?


北京3泊3万4800円


JTBが打ち出した東京発の「出張」パッケージツアーである。出張需要
を対象として一人で参加できる初の海外ツアーらしい。


こういう値付けが出てくると、一体通常価格とは何やねん! と突っ込
みたくなる。ちなみに京都〜東京間を新幹線で往復するだけで3万円弱
はかかりますぜ(って、そんなこと誰でも知ってるか)。


確かに中国のホテルは安い(ところもある)。とはいえ、いつだったか
知人に連れて行ってもらった無錫の一つ星ホテル(普通は外国人は泊ま
れないクラス)でも、3000円ぐらいはした。無錫などという田舎で
これぐらいの値段がするのだから、同じランクのホテルだとしても北京
ならもっと高いはずだ。


もちろん、この手の超・安パッケージツアーはこれまでにもあった。香
港3泊4日59800などは、3回ぐらいは使わせてもらってもいる。
だが、こうしたパックツアーには、必ず観光がセットになっている。行
きたくもない免税店だとか宝石工場(工場価格だから安いヨ、得だヨ、
さあ、買って買ってってやつですね)、あるいは漢方薬品店(中国四千
年の秘薬をご紹介しましょう、なんてビデオを見せられて、これがその
薬ですなんて売りつけられたり)をほぼ一日ぐらい連れ回される。


価格のカラクリは、こうしたお店に客を連れていき、そこでの売上が現
地代理店にバックマージンとして流れるから、何とか帳尻が合うという
話だ。だから、こうしたパックツアーに行って「じゃ、明日の市内観光
は僕パスでいいです」なんて言った日にゃあ、現地ガイドさんの怒るこ
と「それ、困るあるね。わたし、叱られるあるよ、困った、こまたあ
る」なんて調子だ。


これに懲りて、パックツアーはやめた。飛行機もホテルも自分で手配す
る。上海なら安い便を探せば飛行機が3万ぐらいからある。ホテルもい
ろいろとコネを使ったり、調べれば、1万ぐらいで結構な部屋を取るこ
とができる。


パックツアーよりはちょっと高くなるけれど、これはその分自由時間を
お金で買うことになるのだから仕方ないなとも思っていた。


ところが出張ツアーですよ。この34800円は。出張なら昼間の観光
なんてないわけで、ということは土産物屋さんとかからのバックマージ
ンもないわけで。となると、一体どんなコスト構造になっているんだろ
うか。


とても不思議だ。


ていうか、北京3万4800円の原価構造がどうなっているのか。そこ
に関心がある。ほら、最近では安過ぎるコストには、何か落とし穴があ
るってことがわかってきたじゃないですか。姉歯さんに始まり、木村建
設だとか総研、ヒューザーが絡んだ耐震偽装問題ですね。


つまり極端に安い=たいていは安全が犠牲にされる、という公式もでき
つつあるわけで、ということは、この出張ツアー、もしかしてヤバいん
じゃないの、などと勘ぐりたくもなる。


北京にしても、上海にしても、エリアによっては危ないところが確かに
ある。出張で行くのだからある程度現地事情を知っていればいいのだけ
れど、あるいはきちんと現地サイドでアテンドしてくれるならいいのだ
けれど。


中国出張か、ご褒美みたいなもんでうれしいなあ、なんて人が、危ない
ところに行ったりすると、これは本当に危なかったりもする。そんなリ
スクをはらんだ価格設定じゃなかったらいいのだけれど。


なんてことを考えていると、一つアイデアを思いついた。出張族のため
の安心旅行パック。お一人での食事も安心して食べに行けるところを、
ちょっと飲みたい方には安全なお店を、全部コミコミでパッケージング
しました。お店までの送迎もサービスに入っています。でお値段まとめ
て5万円でドヤ、みたいなね。ダメかな。




昨日のI/O

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ハッカーの挑戦 19の罠』翔泳社
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