右前か左前か


八極拳ノート―発勁呼吸と戦闘法概論 (Budo‐ra books)

八極拳ノート―発勁呼吸と戦闘法概論 (Budo‐ra books)


幸か不幸か、左利きである。


だからこそ組手の時は、あえてオーソドックスに構えるようにしている。
前にある方の左手と左足の方が器用に動かせて、力も出るからだ。もち
ろん普通にサウスポーに構える手もないことはないのだが、そうすると
こちらが左利きであることをわざわざ相手に知らせることになる。それ
よりはオーソドックスに構えておいて、でも左が本当の武器、みたいな
戦い方の方が意外性があると考えていた。


これはそこそこ成功したように思う。


この構えでいくとさらに有利なことがある。回し蹴りへのカウンターを
取りやすいのだ。たいていの人は右利きである。ということは、基本的
に右の回し蹴りで攻めて来るケースが多い。そこにカウンターを何とか
合わせたいと思って、ずっと稽古してきた。


蹴り!、と感じた瞬間に前へ出るつもりで、左でインローを狙う。うま
く決まれば、相手は一本足の一番不安定な体制で、しかも上段を狙って
きている場合は重心も上がっているので、倒すことができる。集中して
いれば、5本に1本ぐらいはカウンターを合わせられるようにはなった。


といっても、黒帯の先輩とやる場合は、流れの中で蹴りが出てくるし、
ということは、こちらが押されている状態で蹴られるわけで、蹴りを予
測することがほぼ不可能。しかも蹴りが速いために、とてもカウンター
なんてムリという状態で留まっているのだけれど。


構えについて、いろいろと考えていたら、もっと半身に構える方法もあ
るという本に出会った。『八極拳ノート/山田英司』である。要するに
武術と格闘技は違うというのが、ポイントだ。


格闘技には必ずルールがある。たとえば空手でも流派によってルールが
ある。だから戦い方は、必ずそのルールに規定される。しかし武術は違
う。武術の目的は、究極的には自分が生き残ることにある。禅問答みた
いになるけれども、そのためには、まず戦わないことが一番。やむをえ
ず戦わなければならない場合は、できる限り自分が有利な状況で戦う。


たとえば相手が素手なら、とにかく何か武器を持つ。相手も武器を持っ
ているなら、何とかして相手より強力な武器をもつ。どうしてもお互い
素手で戦わなければならない場合も、少しでも相手より有利な状況へ
と持っていく。


空手でも中国拳法でも、最終的には槍や棒の術を学ぶとも書かれている。
素手の戦いは、槍や棒を扱う技術の延長線上にあると。そのときの構え
が、ほとんど半身になるというものだ。なぜ、半身になるのかといえば、
相手から攻撃を受ける面をできるだけ小さくするためだ。


逆にそこまでの半身に構えてしまうと、前に出ている方の手足での攻め
がメインにもなる。そしてこの武術的半身の場合は右前になるのが本筋
だ。なぜなら右手が利き手の人の方が多く、しかも大切な心臓を相手か
ら少しでも遠ざける意味があるから。


そういえばブルースリーの構えが極端な半身だった。そして、そこから
もっとも効率的な=強力(蹴り技)で速い(直線的な横蹴り)で固い
(足刀から踵にかけて)ところを当てる攻め、つまり横蹴りを多用して
いた。なるほどね。


ということで、構えを変えることもありかなと考えている。もっと半身
に構えて、前側の手足で攻める。と思いつつも、そこまでの半身に構え
てしまうと、回し蹴りに対しては的がすごく大きくなるわけで、それも
どうか? などと考えてしまった。



昨日のI/O

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昨日の稽古: