日中は犬猿の仲でいいのか


「中国に親しみ」を感じる人が過去最低の32%となった。


逆に親しみを感じない人は、過去最高の63.4%である(日経新聞12月
25日)。これはマズいと思う。日中関係で重要なのは、今後お互いがど
うなっていくかという視点だ。いまの多くの議論には、この視点が欠け
ているのではないか。


確かに今年は、大規模な反日デモが起こった。日本領事館が壊され、日
本料理店が襲われた。まったく理不尽な行動というしかない。


反日デモが起こる前には、中国でサッカー試合を行った日本代表に対す
る激しいバッシングもあった。まあサッカーゲームについては、イギリ
スにも悪名高いフーリガンなどがいるから、自国チームを応援するが故
の暴挙も中国だけのことではない


ただし、反日デモは別である。


そこで振り返ってみたいのが、中国での反米デモだ。たとえば1999年、
北大西洋条約機構NATO)が旧ユーゴスラビアにあった中国大使館を
誤爆したとき。米国の大使館や領事館が投石されたり、火炎瓶を投げ込
まれている。
http://nippon.zaidan.info/seikabutsu/2004/00241/contents/
144.htm


あるいは2001年、ブッシュ政権が登場して間もなく米軍偵察機と中国軍
機の接触事件があったときにも大規模な反米デモが起こっている。しか
し、細かな報道がないためにわからないのだが、このときにアメリカ系
のホテルや企業が襲われたという話は伝わっていない。もっとも伝わっ
ていないだけで、実際にはあったのかもしれない。そこのところはわか
らない。


ただし日本に対するのと同じように米国の大使館や領事館への襲撃はあ
った。これは事実だろう。要するに中国はそういうことも起こりうる国
だということだ。


ここで少し日中、米中、日米の関係を整理しておく。
・日本は中国に進出した
・中国が日本に進出したことはない
・日本と中国は交戦状態になったことがある


・米国が中国に進出したことはない(確かなかったはず)
・中国が米国に進出したことはない
・米国と中国は(間接的だけれど)交戦状態になったことがある


・日本は米国に進出した
・米国は日本に進出した
・日本と米国は交戦状態になったことがある


少なくとも第二次世界大戦では、日本の本土に攻め入ってきたのは米軍
だけである。本土各地を空襲したのも、原爆を落としたのもの米軍だけ
だ。だからといって、今どきの日本人で公然と反米を唱える人はいない。
仮にいるとしても限りなく少数派だろう。


なぜだろうか。日本の戦後の復興が、経済面だけでなく安全保障の面で
アメリカに支えられたことを多くの日本人が知っているからだ。そし
て今では日米経済がほぼ不可分の関係になっていることもわかっている。
アメリカは日本が持っている米国債が売りにだされれば、それがドル安→
財政破綻の引き金になりかねないことを理解している。日本は米国が日
本製品の不買運動を起こせば、経済が急激に悪化することを理解してい
る。持ちつ持たれつになっているわけだ。


一方、中国の事情はどうか。第二次世界大戦で中国大陸に攻め入ったの
は日本軍である。南京大虐殺がどれだけの規模であったかはこの際おく
としても、少なくとも各地で中国の人々が殺されている。そして未だに
そのときのことを中国の人は忘れてはない。忘れないようにさまざまな
キャンペーンが行われたり、学校でもそう教えているからだ。


また、日本は1979年以来27年にわたって中国に対する経済協力を一貫
して実施してきた。その累計額は、約3.4兆円になる。しかし、このこと
を中国のほとんどの人は知らない。なぜなら、そうしたことは一般の人
にはまったく伝えられないからだ。


だから、どうこうという考え方をすべきではないのだと思う。だからで
はなく、考えるべきは、これからだ。それも中国は、こうした国である
ことを踏まえた上で、どう付き合っていくのかを考えることが必要だと
思う。


そのとき注意しておかなければならないのが、中国からみた日本の重要
性である。貿易の相手国としての日本の地位は、低下している。資本の
出し手としての重要性も落ちている。これまではモノを買ってくれて、
資金もだしてくれる最大の相手国が日本だったが、今ではそうではない。


極端な話、あと数年もすれば中国にとって日本は取るに足らない国にな
っている可能性さえある。中国政府としてみれば、できるなら日本にモ
ノを買ってもらわなくても平気な状況になること、日本に資金援助を頼
らなくても済む状況こそが理想的だろう。


むしろ、最近明らかになってきているのは、中国にとっての日本はエネ
ルギー、食料などの資源を取り合いする相手へと変わってきていること
だ。政冷経熱だから仕方がない、などといっていられるのは、今の状況
が変わらないと仮定してのことだ。5年、10年、あるいは中国人が得意
とされる30年ぐらいのスパンで未来を考えた時の、日中関係はどうある
べきなのか。


状況が、日本にとって著しく不利に変わるリスクを踏まえた上で中国と
どう付き合っていくのか。ここを考えるべきだと思う。





昨日のI/O

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昨日の稽古:西部生涯スポーツセンター

・基本稽古(組手立ちからの突き・蹴り)
・ミット稽古
・年末恒例の上級者どつき
 今年は、なぜか緑帯までがどつかれる側に回ってしまい、大変でした。