サーチ=リーチになる世界


90万の投資で受注額4000万


福井市にある三和メッキ工業の話(『日経ビジネス 徹底予測2006』)。従業員32人、年商4億円の会社である。


ここで新しもの好きの若常務がオーバーチュアに検索連動型広告を出した。約3年前のことだ。1クリック36円、買ったキーワードは「めっき」である。なぜカタカナの「メッキ」ではなくひらがなにしたのかはわからない。


とにかく、これが当たった。


まず現れたのは個人ユーザーだ。何にでもめっきをできるとのアピールが受けたらしく、ハーレーダビッドソンにまたがった男がやってきたり、ゴルフのパターや携帯電話にオリジナルのめっきをしたいといった要望が届いたり。


こんな個人相手の売上が合計で売上の10%強に届く。販促費90万円(のちに50万円を追加しているようなので)で、4000万以上の売上につながっている。しかも、話はこれで終わらない。大手精密機械メーカーがネットでの広告経由でコンタクトを取ってきた。もちろん大口受注となっている。


これは一種のシンデレラストーリーなんだろうか。


決してそうではないと思う。オリジナリティの高い価値を提供できる企業や個人にとって、自分の存在を広くアピールするチャンスが生まれた。しかも、これまでなら考えられないようなコストで。これがネットが引き起こしたパラダイムシフトの一つだろう。


全国に向けて自社の存在をアピールしようと考えれば、これまではマスメディアに頼るしかなかった。そんなの膨大なコストがかかるために、よほど資金力に余裕がなければ、まずアピールすること自体が無理だ。


幸運にも資金には恵まれたとしても、オリジナリティのある価値がニッチな部分でトンがっていればいるほど、マスで告知しても誰も見てはくれない。そこでネットの登場となる。


ネットで検索をかけるとはどういうことか。


サーチ=リーチとなることだ


たいていの場合はユーザーは、そのキーワードに関しての情報を求めているからこそ検索をかけるはずだ。ということは、検索をかけてきた時点で、その相手はすでに有望顧客である。そうした相手に、自社をアピールするチャンスができた。しかも、ローコスト、かつ完全ではないにせよ成果報酬に近い形で。


と考えてくると、検索連動型広告は、従来なかった広告マーケットを切り開いたことがわかる。これまでなら広告など考えもしなかったクライアントに、これまでにない強力なメディアを提供している。これが検索連動型広告の本質だろう。


このマーケットには周辺マーケットがいくらでも考えられる。その一例がGoogleが地図情報と共に今後、提供しようとしている広告だ。
http://d.hatena.ne.jp/atutake/20051031/


サーチ=リーチになる世界。これがネット広告の本質だと思う。


ちなみに、いま「めっき」でググって見たら、同社がトップ表示されていた。これは明らかにネット広告を出して以来の集積効果の賜物だろう。となると、自社のオリジナリティの価値を見つけ、それをネットで(つまり検索連動型広告を使って)どれだけ早くアピールできるか。ここに中小企業の勝ち残りの道があると言い切っても過言ではないだろう。




昨日のI/O

In:
経営学入門/伊丹敬之・加護野忠男
フィットネス業界関連資料
Out:
R誌原稿・第一稿、第二稿



昨日の稽古:

・ジョギング
・腹筋、カール
・砂袋