ライブドアが狙われた意図は


1月17日にはどんな意味があるか


人為的な大きな出来事が起こるとき、そのタイミングにはたいていなにかの意味があると思った方がいい。特に国が何らかの形でからんで動くときは、ほとんどの場合その後ろにいろんな思惑が交錯しているとみるべきだろう。


では1月17日はどうか。この日付ですぐに思い出されるのは、まず阪神大震災だろう。そこから芋づる式に連想されるのは、1月17日に予定されていたヒューザー小嶋社長の耐震疑惑に関する証人喚問となる。しかし、よりによって1月17日を選ぶとは、この日を設定した人のセンスってどんなだろう。


まあ、それはいいとして。


確かにおととい夕方のライブドア急襲からは、あまりにも唐突な印象を受ける。あれぐらいセンセーショナルなことをやるときには、たいてい何らかの形で事前にマスコミに情報がもれるはずだ。そして、どこかの週刊誌が「次はIT系長者○○を検察がマーク!」なんて記事を出す。


ところが今回は、ほとんど直前までまったく何の前触れもなかった。となると、よほど事前の情報統制が厳しかったのか、あるいはまだ先の予定だったにもかかわらず、急に一昨日にやらざるを得ない状況になったかのどちらか。それぞれについてどんな事情が考えられるかを少し書き出してみると。


仮に、水をも漏らさぬ情報管制がとられていたのなら、ほぼまちがいなくライブドア上場廃止に追い込まれるだろう。この場合は、裏に相当に大きな力が働いていると思う。ことの本質は風説の流布だとか偽計だとかにとどまらないはずだ。


そもそも日本の株式市場がようやく上向き加減から、安定した上昇トレンドに入ったことは、誰もが喜ばしいこととして見ていたはずだ。にも関わらず、一見市場に冷水を浴びせるようなことをしたのはなぜか。


その答えは、昨日の株式市場の動きに出ている。


ライブドアが入っているマザーズ、そしてジャスダックは特にいわゆるIT系を中心に全面下げ、あぶれたマネーは東証の安定感ある企業に流れた。安定感ある企業というのは、言い換えれば実質としての価値創造を行っている企業である。ものすごくわかりやすくいうならメーカーであり、サービス業であったりする。


もちろんIT系の企業が何も価値創造を行っていないなどといっているわけではない。ライブドアもスタートはそうであったように、最初はしっかりとした価値を創造し、それを提供することによって社会から認められ、必要とされ、その結果として株式公開〜一般からの資金供給を得て大きくなってきた。ところが資金を手にすると、価値を提供することよりも単に企業規模(それは往々にして時価総額と読み替えられるのだが)を大きくすることだけが至上命題のように取り違える経営者が出てくる。


そこで手っ取り早いのが金融となる。こうした一億総虚業化みたいな流れになんとか歯止めをかけたいという意志が、どこかで働いたのではないか。マネーの流れを虚業から実業に戻す。それが引いては日本の将来のためになる。そうした考え方の下でライブドアスケープゴートにされたのではないだろうか。


もう一つの可能性として考えられるのは、どうしても一昨日に大きなニュースネタを作り、世間の目をそちらに向けさせたいと考える人物がいたということ。昨日のニュースネタといえば、以前から決まっていたのがヒューザーの証人喚問だろう。これについては去年からきな臭い話がいろいろ出ていた。


そして、それに関連するスクープが一昨日出ている。伊藤公介・元国土庁長官の親族が、ヒューザーのマンション管理を請け負っていたという話。伊藤元長官とヒューザーの不透明な関係は、去年からすでにいろいろと出ていたが、証人喚問の前の日にこうしたニュースが、まさに「出て」しまった。


あるいは今日の喚問で、またもや我が地元のヒーロー馬淵議員があばいたように、安倍官房長官と小嶋社長との不透明な関係が原因なのかもしれない。これなどは次期首相候補ナンバーワンに傷がつく話である。何とか世間の目をそらせたいと願う人たちがたくさんいたとしても不思議ではない。


いずれにしても予定はしていたけれどまだ先のことだったライブドアを急襲させた。急なことだったから検察が入ったといいながらも、せいぜい20人ぐらいしか人員を手当てすることができなかった。これってすくないでしょう。


ただでさえ耐震強度偽装と阪神大震災の被害問題は関連がある。大震災を受けて耐震強度の問題がクローズアップされたわけで、ということは震災前の建造物には耐震強度なんて、ほとんど重要視されていなかった可能性も高い。それはビルなどの大型建造物に限ったことではなく、ふつうの家についても同じだ。というか、ふつうの家などそのほとんどが耐震強度なんてないんじゃないか。なんて具合に話が大きく膨らんでいく過程のどこかに伊藤氏がかんでいた、とか。


いずれにしてもライブドア上場廃止に追い込まれる可能性が高いし、もしそうなれば時価総額経営なんて一瞬にして崩壊してしまうわけだ。
オジャマモンから目をそらすためにホリエモンを使うなんて、もしこの一連の流れを組み立てたアイデアマンがいるとしたら、なかなかのセンスだよな。


と、ここまでは昨夜のうちに書いて、いま読売新聞のサイトを見るとライブドア本体で粉飾決算というニュースが出ている。これが本当だとしたら、検察の狙い、引いてはライブドアの運命も明らかになったんじゃないだろうか。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060118it01.htm?from=top



昨日のI/O

In:
経営学入門』
Out:
O社・プロモーション企画書
M社・社長インタビュー原稿
A社・社長インタビュー原稿


昨日の稽古: