ポイントは誰の利益?
負債総額1000億円
すわっ、ライブドアが倒産!
って話じゃなくて、ポイントカードの引当金を負債と考えるなら、上場企業の合計がこれぐらいになるという話(日経新聞1月19日)。以前、ある電気量販店チェーンに、ポイントカードはやめて別の方法で顧客ロイヤリティを高めましょうよ、なんて企画を提案したことがある。
そのときにいろいろ調べていて、企業はよく平気でポイントカードなんて作れるなと不思議に思ったことを思い出した。だってねえ、ポイントカードを出している流通業なんて、経常利益率は2%とか3%で勝負しているわけじゃないですか。
そんな財務状況のところで、5%とかの還元率のポイントカードを出したりしちゃ、それだけで利益が吹っ飛んでしまう。もちろん、お客さんみんなが受けとったポイントをきっちり使うわけじゃないから、もっているようなものの、そうじゃなかったら即赤字転落みたいな話になる。
なんて思っているうちに、件の電気量販チェーンは倒産してしまったのだが。さて。
以前は経理上もポイントカードの扱いは曖昧にされていたようだ。が、最近では情報開示に透明性を求められるから、発行したポイント額を債務とみなす企業が増えている。そこで計算してみると、とんでもない事態になっていることがわかって、あわててポイントシステムを中止するところもでているようだ。確かユニクロがそうでしょう。
考えてみれば、お客様にポイントをあげるということは、実質的には値引きをしていることになるわけだ。ただし、ここがポイントシステムのうまくできているところ。つまりその場で値引きするよりも、ポイントを貯めれば、高価なものを手に入りますよなんてセールストークをするでしょう。これでお客様はそっちの方が得じゃんって錯覚してしまう。
こんなの真っ赤な嘘です。ポイントは、速攻使いましょうって話が、板倉雄一郎さんの『おりこうさん おばかさんのお金の使い方』にある。少し引用すると
ポイントを貯めるという行為は、現金を払って、その店でしか使えないポイントを購入するという行為にほかならない
わかりますか。要するに、支払い金額=商品代+ポイントってわけだ。しかも、ここで貯めたポイントに金利はつきません。ここが貯金と違うところですね。
であれば、目の前の百万円と、来年もらえる予定の百万円は同じ価値を持っているのではなく、目の前の百万円の方が当然価値は高いのだから(だって、目の前の百万円を貯金すれば、わずかとはいえ利子がつくし、うまく運用すればもっと増やすことだってできるわけで)、ポイントは貯めずに、その場で使って値段を引いてもらった方が賢いってこと。
なんてことを、特に家電量販店にやってくるお客様がみんなやりだすとどうなるか。まずはポイントカード還元率の高いところから、一気に経営状態が悪化していくんじゃないか。大丈夫なんでしょうかね、そうした企業さんたちは。
ちなみに、企画提案した電気屋さんは、ポイントカード合戦でよそに負けてたら、はなから勝負にならへんやないかとのオーナーの鶴の一声で、我々が出した企画をはねつけたらしい。でもなあ、そもそも業界で10位ぐらいの規模なんだから、上位と同じことやって勝負する戦略自体が間違ってたと思うんだけれど。
昨日のI/O
In:
『デジタルコンテンツ革命/三浦文夫』
Out:
フラワーショップ・チラシ企画構成案
X社・社長インタビュー原稿
昨日の稽古:西部生涯スポーツセンター
・ミット稽古(股関節を意識した中段回し蹴り)
・ミット稽古(突きから入ってローで決めるコンビネーション)
・自主稽古
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