トヨタbBってなによ?


トヨタのMUSIC PLAYER bB


今回は「やられた」コピーのお話。これ、自動車の価値を真っ向から問い直す優れものコピーだと思う。早速、いつものようにコピー判定法に従って評価してみると。


トヨタのMUSIC PLAYER bB、だから買ってね』


エ〜ッってことになりませんか。「なに、それ?」みたいな。このコピー、とりあえずインパクトは抜群である。しかも、そのメッセージを最初に見たのは、コンビニの店頭だった。レジカウンターに小さな箱が置いてあり、その中にはカード、箱のふた裏に二次元バーコードが印刷されている。


正直、かなり、たまげた。


トヨタが、なんかカーオーディオでも出すんか? もしかしたらiPodトヨタ版か? それともbBブランドのミニコンポ? などなど、頭の中にかなり「?」マークが浮かんだことは確か。


そして、次にこのメッセージにお目にかかったのは、テレビCMだった。これまた相当に異色。だって、基本的な車のこと(走る・曲がる・止まる&乗り心地とか)については、何も言ってない。ただダンスチームが気持ち良さげに踊ってるだけ。


でもビンビンに伝わってくる。このクルマの価値が。


bBに乗ることで、どんな気分になれるかが、クリアにわかる。それこそがこのクルマの価値である。そして誰に向けた価値&メッセージなのかが、きっちり伝わる。CMを見た人、みんなにわかってもらいたいなんて、まったく思っていない。だから、めっちゃ、トンがっているのだ。


クルマが単なる移動手段なんかじゃなく、ある層にとっては走る音楽空間だなんてことは、今さら言うまでもないことだと思ってた。が、それを自動車メーカーが、それもトヨタが、メッセージとしてバシッと打ち出したってこと、その割り切り方がすごい。


これは強烈なクルマだ。もしかしたらクルマと呼ぶべきではないのかもしれない。エンターテイメントヴィークルとか、モバイルサウンドスペースなんて言葉の方がぴったりきそうだ。そして、その研ぎ澄まされたコンセプトをきっちりと伝えきってるコピーであり、CMだと思う。


ちなみにサイトの方は、いまイチかなと思った。でも、これもある年代にとってはおもしろいサイトなのかもしれない。
http://toyota.jp/bb/


実はトヨタは、プロモーション展開について、かなり実験的なアイデアを試しているようで、以前のエントリーで引用させていただいた坂本衛氏は、同じシリーズの中で次のような指摘をしている(http://d.hatena.ne.jp/atutake/20060121/)。

トヨタは北米でいちばん売れた車種のテレビCMを、一切打たなかったらしい。もし、トヨタが日本で同じやり方を始めたら。日産やホンダも追随し始めたら……。民放は、たいへんなことになってしまう」

http://nikkeibp.jp/style/biz/topic/tv_to_do/060113_1st/


たぶん北米では、このときトヨタが狙ったターゲットは、もはやほとんどテレビなど見ていないのだろう。だからメディアをネットに絞り込んだ。で、成功した。日本ではまだまだテレビの力は大きいと思うけれど、でも、bBのターゲットともっともアクセス頻度が高いコンビニカウンターを最初のメディアとして使うなど、相当に考え込まれた展開だと思う。


今年はブロードバンドをどう使いこなすのか。ワンセグなども含めて、メディアの使い方が、去年までとはまったく変わる年になると思う。というか、このプロモーションにテレビを使わないとすれば、どうなるかとか、新聞を使わないとすればどうなるか。そんな発想もしてみるべき環境になったということだろう。




昨日のI/O

In:
京都ポルタ・ショップ取材
Out:
E社フラワーショップ・チラシフィニッシュ
三浦文夫氏・インタビューメモ


昨日の稽古: