mixiはポータルになれるか
会員数270万人
mixiが順調に会員をふやしているようだ。12月11日の時点で200万人を突破しているから、約2ヶ月で70万人ふえていることになる。そのmixiが今度はポータルをめざすという(日経新聞2月8日)。
→ http://d.hatena.ne.jp/atutake/20051215/
その戦略は、ちょっと「?」である。
自分がmixi会員となってほぼ半年がたった。この間にマイミク(mixi仲間みたいなものですね)は10人できたけれど、そのうちの9人までは昔から知っていた人だ。「あれ、mixiなんか入ってたんですか。やあ、これはお久しぶり」みたいな感じである。mixiで初めて知り合った(というのも微妙な言い方だな)人は、一人しかいない。
コミュニティという同好会みたいなものには、30ぐらい入ってみた。活発にやりとりがあるコミュもあれば、一ヶ月に一度、思い出したかのように投稿が入るところもある。投稿が盛んなのは、たとえばMacについてのコミュで、ここなどはいろんな質問が投げかけられては、詳しい人が答えるスタイルとなっている。
だから、何かわからないことを聞くのには便利だと思う。あと、仕事を助けて欲しいときにライターの方を募集したこともあった。これも、割と助かった。このあたりについては、とりあえず会員制となっているから相手をある程度信頼できる。この安心感はmixiのいいところだろう。
しかし、それだけだ。
日記を書いて、それにコメントがついて、さらにコメントを返してみたいなやり取りもあるようだが、それは基本的に一対一(もしくは一対多)の関係にとどまっている。そこから多対多みたいなムーブメントは生まれていない。そして、このムーブメントこそが本来のネットワーク作用だし、それができてこそコミュニティサイトだと思うのだけれど、なかなかそこまではいかないようだ。
もちろん入っていて損はないし、何かのときには便利。だから、まあやめることもないか、というのが今のところの正直なmixi観だ。ということは、会員数の増加に伴って、もし同じような考え方の人が増えてくるとmixiにとっては、ちょっと困ったことになる。アクティブユーザーが増えないとページビューを稼ぐことができない。すなわち広告媒体としての価値が高くならない。イコール収益が増えない。にも関わらず会員が増えるのでシステムコストがかかる。結果的に収支状況悪化みたいなサイクルになる。
そこで考えられたのがポータル参入なのだろう。
しかしmixiをポータルと呼ぶのには、ちょっと違和感がある。たとえばポータルのガリバー「Yahoo!」と比べれば、その違いがはっきりわかる。Yahoo!なら『そこ』から、いろんなことが始まる。検索したり、オークションしたり、ビデオを見たり、まさにいろいろ。と考えればmixiはポータルというよりはデスティネーションじゃないのかなあ。
ニュースを掲載するのはいいんだけれど、それじゃ差別化にはならないと思う。というか、それでは二番煎じでしょう。せっかく会員制サービスという独自の土俵で勝負を始めたのに、ニュース配信なんてすでにいろんなところが闘っている土俵を選ぶのは、あまり賢明な選択とはいえないと思う。
もちろんポータル争いという土俵の中で、会員制という差別化はある程度は効くのかもしれない。しかし、いま(つまりスタートアップ段階ということですね)やるべきは、会員制をテコにしたさらなる差別化じゃないんだろうか。
ここで少し歴史を振り返ってみれば、会員制とは要するにセンターサーバーで管理していたパソ通と基本的な構造は同じだと思う。であるならニフティのモデルを使えないのだろうか。コミュニティ内のコミュニケーションを活性化するための、たとえばシスオペ制の復活みたいな感じで。
もう5年ぐらい前になるけれど『知恵市場』というメーリングリストに入っていたことがある。これは毎月テーマを決めて、MLを使ってネット上でディカッションをしようといった実験的な場だった。ただしテーマをなげてディスカッションやろうぜっといっても、それだけで場が盛り上がることはない。何人かのネットDJがファシリテーターを務めて、質問を投げかけたり、帰ってきた答を整理したり、議論をまとめたりしてリードしていた。
これは、ネットDJ(私も少しやらせてもらったことがある)に相当の力技が要求されるのだけれど、やっていて大変だけれどかなりおもしろい経験になった。参加している人も発言しがいがあり、ROMっている人も議論を読んでいるだけでもおもしろかったようだ。
といった戦略も、せっかく会員制を取っているのなら、アリだと思うのだけれど。