iPodが狙っているポジションは


国内シェア50%。


これがアメリカでなら76%となる。
http://nikkeibp.jp/style/biz/topic/forbes/060203_ipod/


シェアをどう見るかは『クープマンの目標値』が参考になる。これによれば、73.9%が独占的市場シェアだ。短期的にトップがひっくり返る可能性は、まずない。


独占に続くのが相対的安定シェア。これは市場の41.7%で、これも不測の事態にでも見舞われない限りトップが逆転されることはまずない。これがiPodの現状である。


とはいえまったく安泰かといえば、そうとも言い切れないようだ。日本でのiPodのシェアは、ここ2ヶ月ほど低落傾向にある。代わりに伸びているのが松下だ。そこでアップルがとった一手が低価格攻勢である(日経MJ2月10日)。


アップルの価格が他社と比べてどれぐらい安いのか。一つの目安としてメガバイトあたり単価で比較してみる。


iPodシャッフル 15.4円(512メガ)
iPodナノ 17.8円(1ギガタイプ)
ウォークマン 26.9円(512メガ)
アイリバー 19.5(512メガ)


iPodシャッフルがとび抜けて安い。もともとiPodシリーズの粗利益は同社の中では低い模様で、そのなかで低価格戦略をとることはさらに利益を圧迫する要因になる。低下傾向にあるとはいえ、相対的安定シェアを持つアップルが、この時期に価格を下げてきたのはなぜだろうか。


一つにはプロダクト・ライフサイクルの捉え方が影響しているのではないだろうか。つまり携帯デジタル音楽プレイヤーは、いま成長期、それもそろそろ中期から後期にさしかかり始めているとアップルが読んでいるのかもしれない。


セオリーで考えるならば、この時期には需要の伸びが鈍化するわりには競合が増え、製品のクォリティや機能にほとんど差がなくなる。そして価格競争へと突入することになるのだが、こうしたトレンドを読んだ上であえてトップ自らが価格競争を仕掛けている可能性がある。


もう一つの可能性として考えられるのが『iPodエヴリウェア』戦略ではないか。これはいま思いついて勝手に名前を付けた戦略だけれど、要するに、とにかくiPodの普及率を圧倒的に高めてしまえという戦略である。


この戦略の裏には、iPodを単なる音楽プレイヤーとしてではなく、携帯電話にとって代わるようなデバイスとして位置づけるアップルの壮大な構想がある(可能性がある)。以前のエントリーでも書いたけれど、iPodはコンピューターである。そしてiTMSポータルサイトとして位置づけるとどうなるかって話だ。
http://d.hatena.ne.jp/atutake/20051209


こう考えたときに、iPodとほかの携帯デジタルプレイヤーとの違いがはっきりとする。iPodはもちろん手持ちのCDから音楽を落とせるけれども、本線はiTMSからのダウンロードにある。そしてiTMSからのダウンロードは音楽に限らない。ポッドキャスティングがあり、ビデオキャスティングもある。


携帯で動画を見るデバイスとして考えれば、話題のワンセグ携帯がデジタル放送を見ればバッテリーが1時間ぐらいしか持たないのに対して、iPodならメーカー公表値ではあるけれども、最大20時間だ。もとより放送内容がまったく違うから比較の対象にはならないのかもしれないが、動画を携帯してみるという意味では、ワンセグ携帯はまだiPodの敵ではない。だからこそ、今のうちに携帯して動画を見るならiPodというポジショニングを確保しに出ている可能性はある。


iTMSでエンターテイメント、ニュース系のポータルとしての圧倒的なポジションを確保する。そして、そのためのデバイスとしてiPodを、それこそ一人一台レベルまで普及させる。その先にあるのは、通信機能をつけたり、iPodとたとえばiMacのさらなら一体化なのかもしれない。


携帯音楽プレイヤーのプロダクト・ライフサイクルは成長期後期にさしかかっていそうだが、アップルが狙う『携帯型エンターテイメントデバイス&エンターテイメント、ニュース系ポータル』一体化マーケットには、まだ対抗馬はいない。だからこそiPodでは少々利益を度外視してでも、とにかく『iPodエヴリウェア』ポジションを確立する。


これぞ、まさにブルーオーシャン戦略を、アップルは狙っているのではないだろうか。



昨日のI/O

In:
薬師寺・山田法胤副住職、狭間恵美子氏対談取材
Out:
ガーデニング業のための情報誌型パンフレット案内DM


昨日の稽古:富雄中学校体育館

・基本稽古
・ミット稽古(回し蹴りと、その受けから蹴り返しまで)
・組手稽古