パソコンの素材は価値になるか


またまた『VAIO』。


やはり、SONYは他社との差別化路線を徹底しているようで、これ自体はマーケティング的にとても正しい戦略だと思う。そうした戦略をとることは正しいのだが、その方向性にはいつも「?」がついてしまうのだ。


今回のキャッチは次の通り。
「素材を前面に押し出しました。」
http://www.vaio.sony.co.jp/Products/Concept/VAIOgraphy/Html/Material2/index.html


いつもの通り「だから買ってね」検査をしてみましょう。
http://gold.ap.teacup.com/frankjuso/15.html


「素材を前面に押し出しました。だから買ってね、VAIO


やっぱり変、というか意味不明。ボディを読んでみると、ノーパソのパームレストの部分にアルミ素材を使ったことが、今回の広告ではもっともいいたいことらしい。ノーパソを開いたときに、最初に目にふれるところ(そうかあ?)。使うとき一番長く手にふれるところ(いわれてみれば)がパームレストだから、そこに気を遣いましたと。


特に素材にこだわったことがアピールポイントである。さらには素材に加えて、加工技術にもこだわったと。しかも仕上げにまでこだわっていると。もちろんこだわりを持つのはよいことで、何のこだわりもありましぇ〜ん、とにかく安くしたんで〜す、なんていうよりはよっぽどましだとは思う。


でもなあ、こだわるのはパームレストやないやろ。VAIOのボディコピーになぞらえていうなら、たとえばキーボードの打ちやすさ、あるいは打ち心地の方が、ずっと大切だと思うんだけれど。どうもVAIOには、そのこだわりポイントにいつも違和感を感じるのだ。もちろんノートパソコンがキーボードの打ち心地の良さをアピールするんじゃ当たり前やろって話はある。だからVAIOは違ったところを狙っているのだろう。


あるいはこちらが勝手に違和感を持つだけで、多くのSONYファンにとっては「いやあ、私のパソコンは、パームレストに掌をおいた時の感じがとてもいいのですよ」ということで鼻高々となるのかもしれない。それは、それでいいのだけれど。


と考えてくると、ターゲットが少し見えてきたようにも思う。要するにこのVAIOを使うのはどんな人か。自分でキーボードを打ちまくるような人(野球チームならレギュラーメンバーみたいなものですね)ではなくて、秘書がしっかり目を通して選び抜かれたメールだけを読んだり、企画書は一枚にまとめて持ってこんかい、なんていえる立場にある人(同じく野球チームなら、監督よりもむしろオーナーみたいなポジションか)を対象としているんじゃないだろうか。


そんな人にとっては、ノーパソも万年筆、時計、システムノートと同じレベルで、自らの趣味の良さをアピールする道具になるのかもしれない。


ノーパソに限らずパソコン自体のプロダクトライフサイクルを、どう捉えるのかといった視点が、こうしたSONYの一連の戦略の背後には当然あると思う。つまり成長期ピークはもう超えたのか、それともまだ超えていないのか。すでにパソコンはコモディティ化したと見るか、まだ完全にはコモディティとはなっていないと捉えるのか。


勝手に想像すると、成長期ピークの手前でまだ完全にコモディティ化しているわけでもない。だからベーススペック以外の部分で差別化が可能とSONYではみているのだろう。たぶん、ここが違和感の根源なのだと思う。


パソコンなんて、使ってなんぼのもんである。というか完全に道具でしかない。そりゃ確かに、今から5年ぐらい前(かなあ、もう少し前かもしれないな)なら、ノーパソはデスクトップにくらべれば割高で、絶対価格で考えてもかなり高かった。でも、今や10万も出せば、実用上は十二分な性能のマシンが手に入る。


仕事に使うことを考えれば、仮に12万のマシンでも月1万円の経費。それぐらいなら充分にもとが取れるだろう。そして基本的なスタンスとしては、10万前後のマシンを、毎年買い替えて使う方が、スペック的にもセキュリティ的にも、データのバックアップ的にもいい。と考える自分のノーパソ観の対極にあるのが、SONYVAIOなんだろうな。


ちなみにVAIOのマーケットシェアってどれぐらいなんだろう?



昨日のI/O

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山田法胤師・対談記事第一稿


昨日の稽古:

 ・砂袋、腹筋、カール