確定した未来市場とは
10年間で270万人の減少
減ったのは、日本の消費年齢人口である。15〜64歳の生産年齢人口=消費年齢人口ととらえれば、ピークは95年に8730万人、それが05年には8460万人になった(日経MJ2月20日)。
消費人口が減れば、どうなるか。シンプルに考えれば、生きていく上で必要なもの(つまり衣食住関連の消費材)の市場が縮む。なかでも深刻なのは、衣食だろう。だって、一人の人間が食べられる食事の量が劇的に増えることはないし、一日のうちで何回も服を着替えるような習慣がこれから生まれるとも思えないでしょう。
たとえば食料消費量は96年を頂点に、03年で3%弱のマイナス。もちろん偶然の一致ではあるけれども、消費人口減との見事なリンクぶりはなにか象徴的だ。この前取り上げた酒類の販売数量でみれば、97年と比べて5%強も減っている。
→ http://d.hatena.ne.jp/atutake/20060218/
ということは分野によっては減り方に加速がつくケースもあるわけだ。これは要注意である。いまの10代の子たちの食習慣、ファッション感覚、生活態度などをみていけば、この先急激に減っていく分野がみえるだろう。
さてマーケッターに求められるのは、これまでのトレンドから先をどう読むか。しかし読みなどというあいまいさを含む作業の前に、確定した未来を見ておく必要があるだろう。人口がこれから、どうなるかってことだ。
同じくMJ紙の記事によれば、生産(消費)年齢人口は、これからどんどん減っていく。今後10年で730万人も減るのだ。だからといって日本の総人口もこれだけ減るという話ではないのでご注意を。減るのはあくまでも15〜64歳人口である。
そのかわりに65歳以上の人口は740万人増える。なんといっても団塊の世代の皆さんが、この年齢層に移っていきますからね。そのとき、どんな社会になるのか想像できますか。
たとえば電車に乗ったとき、あるいは繁華街を歩いたとき、レストランに入った時、どんな年齢の人が、どれぐらいいて、その人たちはどんな様子をしているだろうか、とイマジネーションを広げてみれば、なんとなくではあるけれども10年後の社会が見えてくる。
いま秘かに、しかし確実に水面下で始まっているのが、需要のパラダイムシフトだろう。このパラダイムシフトでは、激烈といっていいぐらいの二極分化が起こるはずだ。モノ消費から時間消費へのシフト(これはMJ紙でも指摘している)と、もう一つがさらなる低価格指向だと思う。
時間消費へのシフトは、すでにいろんなところで始まっている。この先、ますます時間を持て余し、しかも経済的には、豊かなりし日本の最後の恩恵を受けそうな団塊引退高齢者がふえれば、さらに質の高い時間消費へのニーズが高まるだろう。
ただし、一応この予測には微妙な変数が絡むことは考えておく必要がある。それは寿命である。
この先の10年で実現するかどうかはわからないが、20年スパンで考えれば医学が飛躍的に発展している可能性は高い。ということは寿命もぐんと伸びて平均年齢90歳代に突入なんてこともありうるわけで、となると長引く老後に備えて、団塊世代あたりからは倹約モードに入るかもしれないってことだ。
さて、もう一つのパラダイムシフトはさらなる低価格指向である。これは今後10〜20年ぐらいで予想される日本の階層構成を考えれば、割と簡単に読めるだろう。いわゆる「下流社会」の本格化である。
要するに戦後60年かけて徐々に築かれてきた日本の階層社会が、決定的に表面化してくる。経済的に恵まれた家庭の子どもたちが比較的高い水準の教育を受け、そうしたグループに属する人たちの間で、婚姻関係が結ばれることによってより強化されていく。
逆に経済的に恵まれない子どもたちが、成り上がるチャンスはどんどん閉ざされていく。『下流社会/三浦展』によれば、彼らは比較的若い間に「できちゃった婚」状態になってしまい、豊かになる機会をさらに失っていく。
こうした人たちがどれぐらいの割合になるかは、今のところまだはっきりとはわからない。しかし、たとえば小学校高学年ぐらいから塾へ通う子、通わない子の比率をみていけば、ある程度予測できるはずだ。そして下流へとシフトしていかざるを得ない人たちが求めるのは、徹底した低価格。
そんな極端なマーケット構造に、この先20年ぐらいで日本はなっていくのではないだろうか。
昨日のI/O
In:
『B2B Marketing』
Out:
山田法胤師・対談記事
昨日の稽古:富雄中学校体育館
・基本稽古
・ミット稽古(回し蹴りの受け返し〜最後はミットなしで)
・移動稽古(組み手立ちでの移動)
・組手稽古
・砂袋、腹筋、スクワット、フロントレンジ、カーフレイズなど
・基本稽古