所得格差は何が問題なのか


2005年時点で約24%


この数字は貯蓄を持っていない世帯の割合。とりあえず4軒に1軒は貯金がないことになる(日経ビジネス2月27日号)。この数字は、かなり衝撃的だ。日本が格差社会になりつつあるなんて話がよくでるけれど、すでに完全に格差社会になっているんじゃないのか。


小泉首相は「格差は悪いとは限らない」といったらしい。「どの国にも、どの時代にも、ある程度の格差はある。格差は悪いとは限らない」とも。さらに「勝ち組、負け組が固定化されてはいけない。一度、敗れても、また勝てるチャンスを提供することが必要だ」と続く。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20060228ia02.htm


別に文句を付けたくなるようなことは何もいっていないし、とても正論だと思う。ただしポイントは、最後の一節にある。


今のままで放っておくと、おそらく格差は固定化される。当然、勝ち組、負け組も固定化される。なぜなら、格差がもっとも影響するのが教育だからだ。日経ビジネスの記事によれば、親の収入と子の学力にはすでにあきらかに相関関係がみられる。収入が多い家庭の子どもは学力が高く、低所得の子どもは学力も低い。


もちろん例外はあるだろう。が、一般的にこうした傾向がはっきりと出ていることは大きな問題だ。これでは子どもの時点ですでに、勝ち組・負け組のふるい分けがされてしまうことになる。


ものすごく単純に考えるなら、たぶん小学校が最初のキッカケになりそうだ。とても残念なことだけれど、公立小学校については、どこそこの小学校が良くて、どこそこの小学校は学級崩壊が多いなんて話が流通している。良いといわれる小学校でも、クラスによっては学級崩壊しているしているところもある。


仮に自分の子どもが通う小学校が、あまりよくないとなったときに、どうするか。その小学校に行く以外の選択肢をもてるかどうかは、所得にかかってくる。同じ問題が中学を選ぶときにも起こる。そして中学生ぐらいでどんな教育環境に恵まれたかは、その後の人生の70%ぐらいを左右するはずだ。


もちろん公立の小学校や中学校がダメだといっているわけではない。中には環境のよくないところもあるだろうという話だ。たまたまそうした学校に当たりそうなときに、親としてどうしてやれるかが問題になる。私立学校にエスケイプする、あるいは引っ越すという手もある。が、いずれも所得がからむ問題だ。


板倉雄一郎さんがいろんなところでいっているように、資本主義社会つまり今の社会では、知識を持っていない人から知識を持っている人のところへお金は動くようになっている。ということは、知識を持っている人は金銭的に恵まれ、その子どもはよい教育を受ける確率が高いから、やはり豊かな知識を持つようになる。すると得た知識のおかげでその子は大きくなってから、やはり金銭的に恵まれる確率が高い。


問題は、逆もまた真なりであること。


そして確率的にはこうしたサイクルが固定化されていくだろう。となると機会平等なんて、とてもいえない社会になってしまう。人しかめぼしい資源のない日本にとっては、国全体の将来を左右する大きな問題だと思う。


とりあえずは家庭でも、子どものため時間を割いてあげて、きちんと物事を考える訓練をしてあげること。ここから始めるべきだと思う。たとえば、しつこく紹介しているけれど三森ゆりかさんの『ロジカル・コミュニケーション』や『フィンランド・メソッド』なら、ふつうに親子で学べる。


こうした教材が増えてきているのだから、これを使わない手はない。もちろん学校にもがんばってもらうとして、でも学校だけに任せるんじゃなくて、家庭でも子どもとしっかり向かい合うこと。これが格差社会を固定化させないための第一歩になると思う。




昨日のI/O

In:
『5つの基本が学べるフィンランド国語教科書』
 →この教科書、読み物というか考え物としても、相当におもしろいです。
Out:
『Relation』誌ラフ原稿


昨日の稽古:

 ・加圧トレーニング1セット
 ・腹筋、掌底

イラスト版ロジカル・コミュニケーション―子どもとマスターする50の考える技術・話す技術

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フィンランド国語教科書小学4年生―フィンランド・メソッド 5つの基本が学べる

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