道路と子どものどちらが価値を生むか


1600億円vs6500億円


前者は出産費用を無料化するために必要なコスト。
後者は来年度、高速道路を作るために割り当てられた予算(日経新聞3月4日)。


今朝の日経1面の記事からだが、ここにおもしろい切り口が示されていたので、引用させてもらう。


<以下・引用>
子どもを増やす支援は、将来へのインフラ投資と位置づけることができる。
<引用・終了>


であるのなら、子どもを増やすことへの投資と、新しく高速道路を造るための投資を比べれば、どちらが投資対効果が高いのだろうか。これはもちろん簡単には答のでない問題だ。とはいえ国家予算を使うのだから、本当ならきちんと説明して欲しい問題でもある。ということで、少し考えてみる。


お役人Aさん:
高速道路は、地域経済の活性化に貢献します。道路が通ることによって、工場誘致ができたり、観光客が訪れることにより、沿線各地に対する経済波及効果は計り知れないものがあると考えられます。しかも工事予算が建設業者に配分されることによって、末端労働者までその恩恵が行き渡ります。彼らの所得が増えれば、それが結果的に地域経済の活性化につながることも明らかです。


反論するひと:
地域経済の活性化に貢献する高速道路なんて、もうほとんど完成済みとちゃうのかな。必要なところには、だいたいあるやんか。聞くところによれば、新しくできた高速道路って、たいがいほとんど使われてへんのちゃうか。ガラガラのところが多いって。そんなんで経済波及効果なんているんかいな。しかも聞くところによれば、工事費ってかなり水増しされてるそうやないか。それが談合で高い工事費で落札されて、余分な金がいろんなところに回るなんて話もあるで。


お役人Bさん:
出産費用を無料化するとなると、税金の使い道に不公平感がでて問題化する恐れがあります。恩恵を受けるのは、子どもを産む人だけ。となるとまず未婚者がこの恩恵を受けることはないし、子供を産めない人に対する差別と捉えられかねない恐れもあります。子どもを生む・生まないという問題は、極めてプライベートな領域の話であり、そこに国家が何らかの介入をすべきではないと考えます。


反論するひと:
そもそも出産費用無料化の目的は、出産した人に恩恵を与えることではなくて、子どもを産みやすくする環境づくりやないですか。国が援助するから子供を産みましょうとポリシーをはっきりさせれば、「それならうちも子どもを作ろう」と考える夫婦が増えるんとちゃいますか。子どもを産めない人に対しては不妊治療に対する補助とかで補っていったらええ。ま、できるなら子どもを産むときだけやのうて、産んでからあとのこともしっかりサポートしてもらえると、もっとええですけどね。


とりあえず思いついたのは、こんなところ。しかし高速道路と子どもでは、投資対象として決定的な違いがある。それは将来的な価値創造能力だ。


高速道路は、時が経つにつれて間違いなく減価していく。さらにいうなら、高速道路そのものが新たな価値を生みだすことは、まずあり得ない。


しかし、子どもはどうか。子どもには無限の可能性がある。というよりも、人の未来を創るのは、子どもだ。そう考えれば、本当なら高速道路と子どもを増やすことへの投資対効果なんて、議論をするまでもないことだ。しかも日本は少子化がすでに現実になっている。待ったなしの状態に追い込まれているわけだ。


国がお金を使うなら、子どもを増やして、その子どもがきちんと育つように教育する。ここを最優先すべきだと思う。



昨日のI/O

In:
ゲーテ』創刊号
 →この雑誌は、この2年ぐらいの間に創刊された雑誌の中で出色。
  コンセプトがトンがっている。
  特に二川幸夫氏のインタビューがすばらしい。
Out:
『東条倶楽部』誌 吉田義男氏対談原稿完全稿


昨日の稽古:

 ・加圧トレーニング1セット
 ・腹筋、掌底