中学生は未来の分かれ道
- 作者: 村上龍
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2003/12/02
- メディア: 大型本
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514種類
『13歳のハローワーク』で紹介されている仕事の数だ。まわりにいる子どもが中学に入ったときの贈り物に決めているのが、この本である。
『13歳のハローワーク』は3年ほど前に出版された。著者は村上龍。ちょっと意外な気もしたが、言いたいことはよくわかった。この本を出す少し前に村上氏は、JMMでフリーター問題を取り上げている。このままではフリーターがどんどん増えてとんでもないことになる、そんな問題意識があったのだと思う。
では、なぜ『13』歳なのか。誰もあまり意識していないのだけれど、実はこの年齢が一つの分岐点になってしまう恐れがあるからだろう。平たくいえば中学校の最初ぐらいで勉強からドロップアウトしてしまうかどうか。ここが一つの分かれ目になる。この分かれ道で勉強や〜めたとなると、決定的とまではいわないにせよ、その後の人生にかなり大きな影響が出る。
自分の未来についての選択肢が減るのだ。
何の選択肢かといえば、職業選びである。もちろん原則的に人は、努力次第でどんな仕事にだって就けるとは思う。だが、それはあくまでも理想論的な原則論に過ぎない。たとえば中学で勉強についていくのをあきらめ、高校に入らなかった人がいるとしよう。その人が後々、命の貴重さを身を以て知るような経験をしたとする。そこで何とか人の命を救いたい、だから医者になりたいと思っても、そう簡単にはなれない。
だから少なくとも、自分のやりたいことがはっきり見えてくるまでは、ちゃんと勉強をした方がいい。そんなメッセージが、この『13歳のハローワーク』の一つの柱だと思う。少なくとも勉強をしておけば、自分が何かをやりたいと思ったときに、選択肢がたくさんあるというわけだ。
ただし、それだけでもない。
職業の中には、できる限り早いうちから技術習得に務めた方がいい職種もある。たとえば和菓子職人なら、一人前になるのに10年はかかると言われている。あるいは舞妓さんは15歳から20歳までに限られた職種(というのかな?)で、20歳を過ぎてしまうと年齢制限にひっかかってしまって芸妓さんにしかなれないとか。もし13歳ぐらいで、どうしてもこれをやりたいという仕事が見つかるなら、それに打ち込むのも素晴らしいこと。これも、この本が伝えようとしているメッセージだろう。
この本で紹介されている職種は514もあるけれど、探せば仕事はもっともっとあるだろう。外国で働くことだって、少なくとも13歳のまっさらなスタートからなら選択肢に入る。13歳の未来には、それぐらいたくさんの選択肢があるんだよとか、道はいくらでも選べるんだってことを一人でも多くの子どもに教えてあげたい。そんな愛情を持って書かれた本だと思う。
やりたいことをやって生きていく。ということは、何物にも代え難い貴重な命を、つまり自分が生きている時間を、大切にするということだ。また生きていくということは、働くということでもある。働くとは、誰かのために価値のある何かを提供して、その対価を受け取るということ。それなら自分の好きなことをやった方がいいに決まっている。
価値のある何かを提供するためには、自分の時間をそのことに費やさなければならない。自分の時間を費やすということは、自分の命を、その何かをするために使うということでもある。その意味でも仕事は自分の好きなことの方がいい。
13歳の君たちには、まだ500もの選択肢がある。でも、その選択肢はいつまでも500あるわけじゃない。何も努力をしなければ、一つ年を重ねるごとに選択肢は驚くほどの早さで減って行くんだよと。そんなメッセージも、この本には込められているのだろう。
人生は一度しかない。好きで好きでしょうがないことを仕事にしたほうがいいと思いませんか?
その通りですよね。
昨日の稽古:
・加圧ジョギング
・鉄砲