お花見について


賛成派43%vs反対派28%


意外にも職場での花見に賛成する人が多いようだ。しかも女性でさえ花見賛成派が反対する人を10ポイント上回るという(日経新聞3月27日)。これはとても不思議である。


仕事帰りにちょっと一杯付き合わんか。こうした先輩からのお誘いに対しては「そいつは、ごめんなすって」と断ることの多い20代が、実はお花見は大好きだという。あるいは年に一回、お花見ぐらいはいいじゃんということなんだろうか。


職場でやるお花見、なんてものにはあまり縁がなく、46年生きてきてこれまでにほんの数えるほどしか経験がない。しかし数少ない体験の中で2回、えらい目にあった記憶がある。


その一
今から15年ぐらい前、場所は京都・円山公園。まだやや肌寒い時期であった。勤めていたデザイン事務所の仲間、仲のよかったカメラスタジオの若手、そのスタジオと一緒によく仕事をしているスタイリストといった面子で、総勢10人ちょいぐらい。一升瓶を3本ほどにビール山盛り、酒の肴はスタイリストのお手製といった案配で、見事なしだれ桜の下でひたすら飲んだ。


飲んで、飲んで飲みまくった挙げ句、気がついたら祇園の路地に転がっていた。前後不覚、左右汚泥、上下反対みたいな有り様、「ここ、どこやねん」状態である。若気の至りというしかない。


その二
今からだいたい13年ほど前、場所は大阪・天満橋。小雨が降っていた。勤めていた広告代理店の社長が言い出しっぺとなり「今日はお花見だ」ということになった。そこで生まれて初めて場所取りなるものを体験する。昼の3時頃に「君はもう仕事しなくていいから、先に行って場所を確保するように」との命を受け、天満橋公園へ。何とか場所は押さえたものの、寒いのである。そこへちょうどいい具合に、燗酒などを売っている屋台があるではないか。これぞ天の助けとばかり飲むことしばし。


社長ほかおエラ方、お得意先の女性社員などお揃いになったときには、すでに「へべのれけれけ」状態である。「ろれちゅが、ちぇんちぇんまわってないでちゅ」男であり、さらには極度の躁状態人間と化していた(らしい)。社長に絡み、会長に絡まり、挙句の果てにはお得意先の女性社員の方に・・・。ということで「お前は二次会来なくていいから」とタクシーに放り込まれた(らしい)。


いささかお花見はヤバいのである。


が、なぜヤバくなるのか。この問題を考えてみるに、今の若い世代の人たちが「花見なら行ってもいい」という理由が見えてくる。


思うに「花見」は、圧倒的な「ハレ」の場なのではないか。まず屋外という舞台設定からして非日常的である。しかも、桜の花の下で行われるイベントである。桜の花には、確かに妙な妖気がある。人を狂わせるのだ。そして、普段は飲みニケーションをほとんどやらないために、同僚、先輩などと一緒に飲むのも、これまた滅多にない機会である。さぞかし気分も高揚することだろう。


しかも、時は春。動物なら発情期ともいう。一年中発情している人間様なら、さらに感度が高まるときでもある。そこにアルコールがぶち込まれる。というか、ぶち込むことが(程度は考えねばならないが)公に許される機会でもある。浮かれちゃって、浮いちゃって、羽目を外しても大目に見てもらえる数少ないチャンスなのだ。


すなわち花見とは、ばか騒ぎを大手を振ってやれる機会なのである。そんなチャンスが他にあるかといえば、たぶんないだろう。だから、せめて「お花見」ぐらいは楽しもうよと。そんな意識があるからゆえに、若い世代の花見賛成多数という結果が出たのだろう。




昨日のI/O

In:
『男の常識をくつがえす新マーケティング/マーサ・パレッタ』
Out:
KLCマーケティング組織企画

昨日の稽古:

 加圧ジョギング