コンビニから割りばしが消える


年間240億膳


日本で一年間に使われる割りばしの数である(日経新聞4月13日)。その割りばしの9割を日本は中国から輸入している。


中国は10年ほど前から日本に割りばしを輸出し始めた。以来、輸出価格を40%ほど下げて、日本市場で独占的なポジションを確保した(日経ビジネス3月27日号)。ところが昨年12月、シラカバなどで作る割りばしについて、いきなり価格を3割引き上げた。


このときは「値上げを受け入れるか、さもなくば数量を減らすか」といった高圧的な調子だった模様だ。しかし今回、中国政府はさらに踏み込んで中国製の割りばしの対日輸出を2008年にも停止する方針を固めたようだ。その理由は森林資源の保護だという。


経営的な視点からいえば、仕入れ先に関して一社のシェアが90%以上になるなどという状態は、明らかに致命的な失策である。系列子会社といった運命共同体的な相手ならともかく、相手は外国のこと。どんな予期せぬリスクが起こるとも限らない。割りばしの9割を中国一国からの輸入に頼ってしまった時点で、今回のようなリスクは予想できたはずだ。


だから本来なら中国製割りばしのシェアが高まってきた段階で、リスクヘッジつまり輸入先の分散をしておくべきだった。とは今さらながらの話ではあるが、しかし、この割りばし事件が図らずも提起した問題については真剣に考えなければならない。これを放置すれば日本にとっては致命的なチャイナリスクとなる。


なぜなら、今後中国が対日輸出停止を考える対象製品は、何も割りばしだけに限った話ではないからだ。


自然資源の保護がお題目となるなら、中国が真っ先に輸出停止を考えるのは「水」である。その「水」が実は、農産物の形で日本に大量に輸出されている。


日本は水の自給率だけは100%と思っている人も多いかもしれない。しかし、農産物などに形を変えたいわゆる「バーチャルウォーター」を含めれば、日本の水の全消費量に対する自給率は決して100%などではない。


一方ですでに中国北部では砂漠化が深刻な状態となっている。黄河下流域では一年の半分以上の間、水がまったくない状態となっている。あるいは首都北京のほんの近くまで砂漠が迫ってきているという話もある。つい2〜3日前、近畿地方ではずっと霞がかかったような日があったけれど、あれもおそらく中国から大量に黄砂が飛んできたからだろう。
http://www.pekinshuho.com/2002-27/china27-1.htm


ということは、水を確保するために、いずれ中国は食料品の輸出を停止する可能性があるということだ。人道的な配慮から完全停止することはないとしても、中国は食料品という日本に対する決定的な資源を押さえていることになる。まさしく日本はその生殺与奪の権を中国に握られているのだ。


すでに中国の長期的な戦略の下では、食料を使った日本支配が着々と進んでいるといったところなのかもしれない。何しろ、30年、50年といった長期的なスパンで戦略を考える相手である。いずれ食料やエネルギーが国家間の争いにとって決定的な要素となることなど先刻承知の上だろう。
http://d.hatena.ne.jp/atutake/20060202


今回は割りばしですんだ。割りばしなら、まだ代替品がある。探せば新たな輸入先を見つけることも不可能ではないだろう。が、食料品はどうなるのか。ことは恐らく、我々の子どもの世代を直撃する問題である。


このブログでそんなことをいくら叫んでみても、それこそごまめの歯ぎしりにしかならないのはわかっている。十分にわかっているのだけれど、この問題を真剣に考える人が一人でも増えてほしいと切に願う。



昨日のI/O

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『勇気凛々ルリの色 福音について/浅田次郎
『起業家プロの発想力/主藤孝司』
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昨日の稽古:西部生涯スポーツセンター・軽運動室

 ・ミットを使った回し蹴り各種
  →初速を速く/二本蹴り/二本蹴りをいずれも強くなど