フィンランドの作文練習法


「楽しい つまらない 夏休み 学校 友だち 先生 勉強する 遊ぶ 会う 仲良し がっかりする 満足する」


この12の言葉をぜんぶ使って、どれだけ短い作文を書けるか。こんな作文練習をフィンランドの小学校ではやっている。ポイントは、できるだけ短くという点にある。どういうことか。


これらの言葉を使って単純に作文を書くだけなら、たぶん4年生ぐらいの子どもにとってはそれほどむずかしいことではない。かかる時間は別として、おそらく誰にでもできるだろう。だが、できるだけ短く、それでいて文意の通った文章にしようとなると、なかなかに難題だ。論理が破綻しないようにするためには、指定された言葉をうまく関連づけて並べていかなければならない。


やってみるとわかるけれど、これは大人にとってもそれほど簡単な作業じゃない。それでいて、おもしろいのだ。フィンランド式のいいところは、このやってみるとおもしろい、という点にあると思う。以前、紹介したマインドマップもそう。型にはめないから、子どもたちが楽しんで取り組める。
http://d.hatena.ne.jp/atutake/20060213


実際、寺子屋でみんなにやってもらうと、揃って「う〜ん」とはいうのだけれど、この「う〜ん」にはヤダなあとか、つまんないなあというニュアンスは含まれていない。「う〜ん」、一体どうやったらできるんだろう、といった感じで前向きな姿勢が感じられるのだ。確かに面倒くさいし難しいのだけれど、子供心に何となく知的好奇心を刺激されるといったところか。


言うまでもないことだけれど、楽しみながら何かに夢中になっているときには、いい脳波が出ている。頭が活性化されるわけだ。おもしろがりながらこの作文練習を重ねていけば、言葉を自由に使いこなせるようになる。言葉を自分の思い通りに使えるようになることは、イコール自分の言いたいことを正しく表現できること、だろう。


日本の国語でもたぶん指定された言葉を使って短文を書くような練習はやったと思う。が、その場合、指定される言葉はせいぜい一つか二つ。そうじゃなくてたくさんの言葉を使って、できるだけ短くというところが逆転の発想っぽくておもしろい。


ちなみに、例題をやってみると、こんな感じ。

夏休みは、学校で先生と勉強できないのがつまらないし、がっかりだ。でも仲良しの友だちと会って遊べるから楽しくて満足だ。




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