恐るべし回転寿司


はっきりいって回転寿司は嫌いだ(った)。


なにがイヤだといって、あれを食べていると何だか自分がブロイラーになったような気がしてくるのだ。ベルトコンベアーに乗って次から次へとぐるぐるぐるぐるいつまでも回って出てくるお寿司。お寿司だけじゃなくて、プリンだとかパフェだとかもグルグルしていて、ここは一体何なんじゃと頭がクラクラしてくる。


もちろん、だから回転寿司がダメだ、なんて暴言を吐いているわけじゃないので、そこのところ誤解のないように。


これでも一時は熱心に通いつめ、「無添くら寿司」のまぐろは時々まだきちんと解凍されていないのが回っているけれども、ライバル「あきんどスシロー」ではそんなことはないだとか。とはいえ、うどんに入っている天カスの味を吟味すれば、これは明らかに「くら」に軍配を上げざるえをえないだろうとか。


あるいは「くら」なら生ビールを自分で納得いくように注ぐことができて、それはビールの泡にうるさい私としてはなかなかに気の利いたサービスではないかとも思ったし。さらには「くら」のびっくらポンは、だいたい27皿で一回あたるぐらいの確率になっているのではないか、などといった知見を得るぐらいまで通いつめて後の話なのだ。


そんなこんなで足が遠ざかっていた回転寿司であるのだが、さて。昨日、やんどころなき事情により、そこに入るより他に選択肢がない状況に追い込まれ、行ってみてびっくらこいた。こんな回転寿司もありなのかと、またまた見聞を新たにした次第だ。世の中って広いですね、ほんとに。


ここは確かに回って入るのだけれど、その真ん中には職人さんが5人ほどいて、次から次へとよさげな寿司を握ってはせっせとローラーに載せているのである。ベルトコンベアーの先の隠された厨房で、誰がどんなふうに握っているのかがまったく見えない普通の回転寿司とは、そのコンセプトが違う。


とはいえ回転寿司のエッセンスは、実にうまく取り入れている。お茶は湯のみ(これまた、しょうゆをいれる皿と一緒に、寿司が回っているコンベアの下を、やはり同じように回っている)に自分でお茶の粉をいれ、2〜3人に一個の割合で設置されている蛇口からお湯を注ぐようになっている。


よかよか、お茶なんて。寿司が安くてうまければよかじゃけんと、そのやり方にうなずく。おしぼりだって、そんなの自分でとってきなよ、とばかり一箇所にまとめておいてある。ええねん、ええねん、おしぼり手渡してもらって、それでサービス代取られるんやったら、そんなん自分でやるしって。


つまるところ、この回転寿司は、本物のいいネタを、きちんとした職人が握り、それでいてお客様にはできる限り安い価格で出すためには、どうすべきかを追求する中で生まれた店だと見た。そのコンセプトや良しである。


で、肝心のお味にお値段はといえば。


大トロ850円である。中トロ600円である。そのほかの細かい値段は忘れてしまったけれども、だいたい200円から400円ぐらいまでである。もちろん2カンの値段だ。


味はどうったったのかって? そんなのわざわざ、こんな文章をぐだぐだ書いていることから想像されたい。


とろけた。とけた。


出張取材に来てのお昼ご飯だったから、まさか飲むわけにはいかなかったのが、返す返すも口惜しい。もう一度行きたいぞ、近江町市場!




昨日のI/O

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『ためらいの倫理学
電話工事会社取材
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