電子チラシが携帯に届くとき


昨日の続き。


凸版印刷が電子チラシサイト『Shufoo!』で何を狙っているんだろうと考えているうちに、これはもしかして携帯2.0につながるのではないかというところまで妄想が膨らんだ。


つまり特定エリア(今のところは郵便番号で判別される)に住んでいる、主婦の携帯に電子チラシを送ることができるシステムを凸版は狙っているのではないか。『Shufoo!』の将来展開には、きっとそこまでの道筋が描かれてるんじゃないか。片方に電子チラシを出稿したいクライアントを抱えていて、反対側にはチラシ情報を携帯で受けとりたい主婦を囲い込むことができれば、何ができるのかといった話だ。


そうした状況を創りだすために、まずクライアントサイドを価値/対価のバランスがとれていない(=クライアントからは極めて割安に思える)
サービスを切り口に、とにかくサイト掲載チラシの数を増やす。これはもう片方にいる主婦からのサイトアクセスを高めるための絶対条件でもある。


要するにチラシの『ポータルサイト』としてのポジションを、いかに早く確立するかが勝負となる。「あのサイト、いろんなチラシを夜の間に見ることができて、便利よ」なんて口コミが主婦の間に広がれば、しめたものだ。今のところそれほど強力なキラーコンテンツは見当たらないが、おそらく今後、主婦がメリットを感じるコンテンツ続々と掲載されていくのだろう。


そして、たぶん2年後ぐらいにチラシポータルサイトとしてのナンバーワンポジションを『Shufoo!』が確立したとき、満を持して携帯チラシが出てくるのだと思う。その携帯チラシはどんなものになるのか。


凸版は印刷会社である。印刷会社がチラシという自社のこれまでの主力商品に致命的なダメージを与える製品を開発した。ということは、当然チラシでの売上ダウンを補ってあまりある収益モデルを考えているはずだ。それが携帯電子チラシだろう。


では、その携帯電子チラシはどんなものなのか。


まず主婦に喜ばれるものではなければならない。ということは電子クーポンは必須である。こんなのはケータイを使っているんだから、たぶん簡単に付けることができる。そして「たとえばティッシュペーパーが今日、一番安いのはどこかしらん?」といった質問にサッと答えてくれる検索システムも搭載されるだろう。その上「うちの近くのあのスーパーと、このスーパーの今日の特売品は何かしら?」と尋ねたら、これまた直ちに答えてくれるはずだ。


さらには、その特売品を使った『今日のレシピ』情報もついている。唯一難点があるとすれば、画面サイズが小さいために少々見づらいこと。とはいえ、そんなのはクリック拡大で何とかなるだろう。画面サイズだって大きくなっているだろうし、なんたって2年後ぐらいにはケータイも完全ブロードバンド&定額制使い放題の時代に突入しているのだから。もちろんケータイはポイントカードも管理してくれる。というかケータイはお財布である。ケータイで何でもできてしまう。まさにケータイ2.0(携帯2.0と書くよりカタカナの方が合いますね)の世の中である。


ではクライアントサイドのメリットはどうなるか。


まず膨大なチラシコストがなくなる。これが大きい。もちろん『Shufoo!』を使うコストはかかるにせよ、印刷コストよりはたぶん安いはずだ。さらに電子チラシには、印刷物の様な印刷プロセスが不要である。ということは掲載商品・価格決定をギリギリまで検討できることになる。おそらくは商品写真データ、スペックデータは凸版印刷に預けておいて(ここが凸版サイドの狙いだろうが)、各店の担当者がオフィスのパソコンから指示を出せば電子チラシに反映されるシステムとなるのだろう。


これだとマーケティングの精度が大幅にアップするのではないか。もっと細かく考えれば、昼過ぎぐらいの時点で午前中の売上動向を確認し、売り切り商品を決めれば、それを商圏内の主婦にメール配信、なんて芸当も可能だ。これで売れ残り〜廃棄ロスがかなり改善される。メリットは十分にあるはずだ。主婦に対するプッシュ情報とプル情報をうまく組み合わせてマーケティングすることができる。


そして凸版はどうか。


チラシポータルとして地位を不動のものとしていれば、印刷物としてのチラシがなくなっても業績は大幅にアップする。何しろありとあらゆる印刷チラシを電子チラシとしてしまい、日本中のチラシクライアントを独占的に囲い込んでしまうのだから。ここでキーとなるのは、正真正銘のチラシポータルとしてまず主婦から、そしてクライアントから認知されるかどうかである。ここを押さえれば、あとはネットワーク効果、デジタルデータの蓄積効果が働き、『Shufoo!』のポジションは圧倒的なものとなる。


そうなったときには、この『Shufoo!』は恐ろしいまでのパワーを持つメディアとなるだろう。って、本当にそんなことまでを凸版印刷さんは考えてるんだろうか?


あと、恐らくチラシがなくなるとなれば、その配布を収入源としている関係者(代理店と新聞販売店など)からの猛烈な反発が出るはずだ。ここをどう押さえるのか。代理店はともかく新聞販売店は取り込みにかかるのかもしれない。この先、凸版印刷の動きは相当に注目である。




昨日のI/O

In:
『グーグル Google佐々木俊尚
Out:


昨日の稽古:西部生涯スポーツセンター ダンススタジオ

・組手立ちの基本
・マット
・模擬ナイフを使った護身術
・組手稽古
・ミットを使った組手(顔面あり)稽古
・掌底での顔面ありの組手稽古