auがドコモを抜く日


53.1%がau


日経産業新聞が実施した携帯ユーザーに対する調査の結果。携帯の番号継続が始まったら、キャリアを乗り換えるかどうかを尋ねたところ、乗り換え先としてauがトップとなった。


さらにボーダフォンユーザーの33.8%、ドコモユーザーの25.4%が乗り換えを希望している。その乗り換え先がauというわけだ(日経産業新聞6月6日)。


ドコモ危うしである。とはいえ、このアンケートは日経産業新聞メールマガジン読者を対象に実施されたものであり、回答者の81%が男性(しかもおそらくほとんどがビジネスマン)だから、これをもって総合的にドコモが危ないとは言い切れない。


しかし、少なくともビジネスユーザーの間ではauの評価が高く、ドコモの評価が低い傾向があることは確かなようだ。なぜだろうか。アンケートのテーマは乗り換えの意向である。ということは、現時点での不満に加えて、将来の可能性を加味して回答者は答えているはずだ。


まず現状の不満についてはどうか。


不満のトップが利用料金の高さで、約半数(47.7%)を占める。端末料金が高いことも21.6%にのぼっている。これはおそらくドコモに当てはまるのだろう。auパケット定額制を取っているために、特にヘビーユーザーにとっては恩恵のある料金体制となっているのではないか。またドコモの端末は全般的に高い。これも不満となっているはずだ。


一方で携帯各社はユーザーの引き止めに躍起となっている。いろんな新サービスを打ち出し、顧客囲い込みを図っている。こうした策をユーザーは将来の可能性としてどう評価しているのだろうか。


最近、各社が対応強化をアピールしているのが、音楽関連と金融決済の2つだ。しかしことビジネスユーザーに限っては、こうしたサービスを強力な魅力とは感じていないようだ。ビジネスマンが魅力を感じるとすれば、基本的にはいかに仕事に役立つかである。ここに絞り込んで考えてみるとどうなるか。


原則は『速い・安い・使いやすい』がメリットとなる。


つながりやすさも含めた総合的な速さでは今のところauがリードしているようだ。ドコモも最近は広告などで基地局の大幅な増設をアピールしているが、これは裏を返せば現時点ではつながりやすさ・速さに問題があることの証だろう。この問題に関してはユーザー数が多いことが、ドコモにとってはマイナス要因となっているのだと思う。


料金については、いずれ定額制がメインとなる。料金の値下げ競争はやらないとドコモは主張しているようだが、ボーダーフォンが大幅な価格競争を仕掛けてきた時に(YahooBBで顧客獲得をめざしたのと同じ手法を採ってくるだろう)、果たして頑張りきれるかどうか。


ここにもドコモの弱みがある。なぜなら価格に最も敏感なのは女子高生であり、主婦層である。そして、これは推測に過ぎないが、こうしたユーザー層の割合が最も多いのがドコモではないのか。さらに彼女たちは「乗り換えでメールアドレスが変わっても全然へっちゃら」(『プレジデント』誌6月12日号)なユーザーである。ボーダフォンの仕掛けによっては、この層の大幅なドコモ離れも考えられるだろう。


では『使いやすさ』はどうなのか。


ここはやはりauが競争優位なポジションを握ったと見る。その最大の理由はGoogleとの提携である。携帯のブロードバンド化は、携帯での検索利用を急激に増やす可能性が高い。特にビジネスシーンでは。


このところGoogleに関する本が何冊か相次いで出ている。これが意味するのは検索システムとしてのGoogleの台頭だろう。これまで日本なら検索と言えばYahoo!だったのが、Googleユーザーが増えてきている。


そこそこに検索を使いこなせる人にとっては、Googleの方が使い勝手がいいのだ。イコール、ビジネスユーザーにとってはGoogleの方が使いやすいわけで、すなわちGoogleの使える携帯=au、といった公式が定着するとビジネスユーザーのauシフトが加速する可能性がある。


前回のエントリーでも書いた通り、いまのauはまさに漁父の利を得られるポジションにある。だからauはその「利」を最大にするためのチャンスを伺っているはずだ。そこで、とりあえずは端末の店頭価格引き下げ〜シェアアップに動いているようだ。これはもちろん正解だと思う。
http://d.hatena.ne.jp/atutake/20060522/


では、次にauは何を仕掛けるのか。ドコモがどう巻き返しを図ってくるか。ボーダフォンが仕掛けるゲリラ的戦略は・・・。


この先10月までに、携帯3社がどんな戦術を展開してくるのか。これは生きたケーススタディであり、マーケティングに携わる者としては見逃せない争いとなる。まさに携帯夏の陣の幕開けである。



昨日のI/O

In:
『グーグル/佐々木俊尚
Out:


昨日の稽古:富雄中学校体育館

・コンディショニングトレーニン
・基本稽古
・膝抜きの稽古
・ミット稽古
  回し蹴り/早く・強く
  前蹴り/強く
  回し蹴り/正しいフォームで
・組手稽古