駐車禁止にチャンスあり?
6月1日から駐車違反の取り締まりが厳しくなった。
正確にいうなら、ただ「厳しくなった」という程度の表現では不適当だろう。駐車違反取り締まりのシステムが一新されたとか、以前とはまったく違う次元にバージョンアップされたとでもいうべきか。何しろこれまで数分ぐらいなら許されていたケースが、すべてアウトになるわけで相当に厳しい。
たとえば
駐車禁止スペースに停まっているクルマ発見!
↓
ドライバー不在
↓
写真カシャ
これで一丁上がりである。
先日タクシーの運転手さんと話したときには「わしらかて人間ですやんか。急に腹痛なってトイレに駆け込みたなることかてありますねん。そんなときでも、駐車場探せっちぃまんのか。探してるうちに、しんぼたまらんようなったらどないすんねん!」と、彼は少し興奮気味に話していた。さもありなん。
運送業者さんなんかは、これまでなら一人で配送していたところに、わざわざもう一人、納品中に車で待機するスタッフをつけている。当然、人件費がかかるわけだ。さらにいえば少々コストをかけてもスタッフを余分に配置できる体力のあるところはまだいい。これが個人営業の赤帽さんや普通のお店の配達なんかだと死活問題だろう。
なんで、こんな法律がスッと成立してしまったのか。ちょっと謎である。謎ではあるが、とりあえず成立してしまった以上、そこにはいろんなビジネスチャンスが生まれるのも事実。今回の駐車違反取り締まり強化では『もてなし系駐車場』なるサービスが生まれている(日経MJ新聞6月5日)。
たとえば東京は玉川高島屋ショッピングセンター。ここでは一般の駐車場とは別に、1回1000払うと特別駐車場に案内するサービスをやっている。受付でスタッフが車を受けとり代わりに駐車し、買い物した品を車にまで運び込んでくれる。お金持ち御用達のサービスというわけだ。なるほどね。
この場合は1000円を支払うことがミソなのだろう。ショッピングセンターといえば、いくら玉川高島屋といえども、不特定多数が集まるスペースである。そんな場所でセレブとしては「私は、駐車料金を払ってでも特別扱いされたいの、セレブなんだから」ってところを見せたいわけで、そうした心理をうまくついている。
これが、はなからセレブしか集まらない特定のブランドショップや会員制のショップなどの場合はどうなるか。もちろんパーキングサービスは込みである。この場合は、そのお店に来ること(正しくは来れることというべきか)自体がすでにセレブの証である。だから、そこではわざわざ駐車料金は別途で、などと野暮なことはいうもんじゃない。
逆にごく普通のお店からすれば、パーキングサービスをいかに低コストで実現するかが勝負のカギというか死活問題となる。ニュースではロードサイドで駐車場のないラーメン屋のおばちゃんが「お客さん、ぜんぜん来ないわ。商売上がったりやで」なんてインタビューに答えていたが、確かにそのとおりだろう。そうしたお店はどうするのか。
たとえば駐禁対策用にバイトを一人ぐらい雇ってみるのだろうか。お客さんがくれば、その代わりにバイト君が車のまわりで待機。これだと一人でも何とか店の前のスペース分ぐらいはカバーできるかもしれない。バイト君の時給が700円ぐらいだとして採算が合うのかどうか微妙なラインになりそうではあるが。
とはいえ客の側からすれば、それで安心してメシを食えるならありがたい話ではある。見張り役代として一回100円ぐらいなら大目に払っても文句は出ないだろう。ということは、店としても少々コストをかけ、お客さんにも若干の負担をしてもらったとしても、駐禁を気にせずに食事をできる環境を整えることは、店にもお客さんにもメリットがあるわけだ。
なんてビジネスは、どこかに生まれているんだろうか? あるいは「店の前にちょっと車を止めて型」のビジネスは、少なくとも重点取り締まり地域では、今後まったく成り立たなくなるのだろうか。そこまでやるつもりなんだろうか。この法律の運用状況は、要チェックである。
昨日のI/O
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