あえて逆をいってみる


子どもは判ってくれない (文春文庫)

子どもは判ってくれない (文春文庫)



内田樹先生の新刊『子どもは判ってくれない』


またまた参考になるTipsのオンパレード。これまで(178ページ)読んだ中で引っ掛かったのは次の一文。

口から出かかった言葉をまず呑み込んで、「それとは逆のこと」を言うようにしている。
内田樹『子どもは判ってくれない』文春文庫、2006年、74ページ)


なるほど。これは見事な思考実験ではないか。


何かについて意見を求められる。それもたいていは相手が期待している答が読めるような質問だ。内田先生が例に挙げているのは、たとえば「最近の若い人について、どうお思いますか」なんて質問である。おじさんにこうした質問を投げかけるとき、期待される答は「いまどきの若いものは」から始まる否定的な見解だろう。そこであえて「いや、なかなかよくやっていますよ」というフレーズから切り出してみる。


そういう言葉を口にすることによって、自分の思考の方向性を、あえて自分にとって素直な流れとは違う方向へとリードしてみるわけだ。するとですね、言ったからには「どこが、よくやっているのか」を説明しなければならない。あら不思議というか、なんというか。これで若者に対する見方が180度変わってしまう。


見方が変われば、見えてくるものも変わる。当たり前の話だけれど。


良いところを見ようとすれば、良いところが見えてくる。逆もまた然りである。ここで大切なことが二つあると思う。まず第一には、できるだけ世間一般で言われているのと逆の見方を心がけることだろう。たとえば「福井さん、村上ファンドに投資して儲かって良かったじゃないですか」とか「村上さん、よく頑張ったじゃないですか」といった具合。


特にマスコミ的なモノの見方と反対の視線を意識することで見えてくるものは多い。新聞に書いてあることがいつも全面的に正しい、なんてわけがない。彼らが書くことだって、何らかのポジショントークでしかない。というか、そもそも世の中のあらゆる意見が、それぞれの立場から発せられるポジショントークなんだから。


もう一つ大切なこと。逆の見方に頭を振ってみた後で「やっぱり、自分としてはどうなん? どう思うの?」を自分に問いかけてみることだ。あえて逆の見方を一度した上で、元の自分の見方との違いを考えてみる。ポイントは、この違いである。違いを判ることが大切なんだと思う。


ということであれば、常に逆ばかりを心がけなくてもいい。要は視点の持ち方なんだから、子どもと話している時には「この子には、今の状況がどう見えているんだろうか」とかもありだ。あるいは相手がいなくても「この出来事を、10年後の自分が見たらどう思うだろうか(未来視点)」「10年前の自分だったら、なんて考えただろう(過去視点)」「自分が中国人だったら・・・(外国人視点)」とかね。


やってみると、自分の考え方がいかに不安定なものかってことがよくわかる。そして、自分の考えの不安定さを意識することから、他人とのコミュニケーションはスタートする。そう思う。



昨日のI/O

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『子どもはわかってくれない/内田樹
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昨日のBGM

Time Flies...The BEST of/Huey Lewis & The News
Escape/JOURNEY
After the Gold Rush/Niel Young
Double Vision/Foreigner
In Square Circle/Stevie Wonder
Toys in the Attic/Aerosmith
1984/Van Halen
Around the world in a Day/Prince & the Revolution
※「週末なんでちょっと元気が出るように」がテーマですな

昨日の稽古:

Around the World in a Day

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