安易に方程式はダメみたい


n角形の内角の和は
n角形の外角の和は
内角が179度の正n角形は


こんな問題を教えるときにどうするか。最悪なのは、どうもこんな感じらしい。「ええか、n角形の内角の和はな、180×(nー2)で計算するんや。そう決まっとんねん。よう覚えとけよ」と。ところが息子の通っている塾では、これがいいとされるようだ。とりあえず公式を覚えていないと、問題を解くのに時間がかかって仕方がない。だから算数はできるだけ公式をたくさん覚えることが塾のモットーだと。


たしか大学受験の数学でも公式をたくさん覚えるのが正解、なんてことをかの和田秀樹先生がどこかで言ってたような気がする。能率だけを考えれば公式を覚えるのが合理的ではある。が、たぶん和田氏がいいたいのは公式を覚えるのだけれど、一緒にその原理も理解しておきなさいってことじゃなかったか(記憶あいまいで、よく覚えてません)。


ここで上記の問題に戻ると、n角形の内角の和は、要するにn角形を三角形に分けたらいくつになるって話である(原理的にはね)。四角形なら三角形二つ、五角形なら三角形三つといった具合。なんだけれど、ほかにも考え方がある。同じように三角形に分けるにしても、なにもn角形のどこかの頂点を基準にしなければならないわけではない。


n角形の中の任意の一点をとってもいい。そこを頂点としてn角形を三角形にわけてみる。すると今度は六角形なら三角形が六つできる。ところがこの場合は、六つの三角形それぞれの頂点の角が余計になる。だから三角形六つの内角の和(180×6ですね)から頂点回りの六つの角の和(必ず円になるから360=180×2)を引けば良い。


「じゃ、そもそもなんで三角形の内角の和は180度なん?」と聞かれてさっと説明できる人はどれだけいるんだろう。実は私も「息子が、そこを聞いてきたらどう答えようか」とびくびくしていた。「そんなもん、昔から決まってるんや」では、ちょっとカッコ悪いじゃないですか。


どう説明しようかと考えていると、三角形の場合は敷き詰め法を見せてやればいいことに気がついた。同じ形の三角形を最低三つ用意して、並べてみればすぐにわかる。まあ、この場合でも直線が180度とか一周すると360度という定義だけは教えないとダメだけれど。


じゃ外角の和はどうなるんじゃと。外角の和は何角形であろうといつも同じ360度ですね。では、なぜそうなるんでしょうか。これも内角と外角の和が180度で、n角形だったら(内角+外角)の和=180×nになるわけで、そこから内角の和=180×(nー2)を引けば良いと。


まあ、こうした説明をしながら問題を解かせていくわけです。そして最後の問題:内角が179度の正n角形は、をやろうとして、これは方程式じゃわいと次のように説明したわけです。


180×(n−2)÷n=179 やろと。
ちゅうことはやな、両辺にnをかけて
180×(nー2)=179n になるな。
これを展開したらな
180nー360=179n やんか。
せやから
180nー179n=360 になるねん
つまり
n=360 や。


ということはや、正n角形の一つの内角がm度やったら、それが何角形かは次の公式で出せるわけや。
n=360÷(180-m)


ところが、とりあえず方程式に頼るってのがどうもよくないらしいのだ。たとえば鶴亀算にしても和差算にしても過不足算にしても、そんなの方程式使えば簡単じゃんとなるんだけれど、実は安易に方程式に頼らないことに意味があるという。

方程式を使わずにさまざまな問題を解く訓練をさせることが子供達に「考える力」をつける意味でとても重要なのだ
http://satoshi.blogs.com/life/2006/08/post_4.html


なるほどね。応用力を養うためには、何でもかんでもxとyに置き換えてしまっちゃダメってこと。そうじゃなくて、問題の本質を考えていった方が結局は「地頭」の強い子になる。となると、子どもに算数を教えるのは、マンツーマンがベストだし、その上で相当に時間が必要だ。まあ、教えるためには自分がはっきりとわかっていなければならないわけで、まず自分が理解すること自体がおもしろいからいいんだけれど。


で、方程式を使わずに一つの内角が179度の正n角形は? どう考えればいいんだ!



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