ジーメール(Gmail)の狙いは


容量2.7ギガバイト


Gmailジーメール)に保存できるメールの容量である。一応、上限が決まっているものの最大容量に近づくと自動的にこの容量は増えて行くらしい。つまり、実質的には無制限にメールを保存できるサービスが、このGmailだ。


Gmailは何がいいのか。容量のほかにも強力なメリットが2点ある。一つはスパムフィルターのできがいいこと。以前にも書いた通り、GmailMacオリジナルのmailアプリではスパムをはねてくれる率が50倍ぐらい違う。
http://d.hatena.ne.jp/atutake/20060113/


もう一点は、よくいわれていることだけれど検索が速い。ただし、検索に関してはMacのSpotlightも相当に強力だから、これはおあいこといったところか。ただしMacでmailアプリを使うのと、このGmailを使うのでは決定的な違いが一つある。


Gmailを使うということは、自分のメールをすべてネット上に保存するということだ。これにはリスク/メリットの両面を感じている。まずリスクに関しては、何かのトラブルでネット上に保存されている(正確にはGoogleのサーバーになるんだろうけれど)メールデータが飛んでしまう恐れがある。まあ、Googleが潰れることはないだろうけれど、どこかのテロ組織に潰されることはあるかもしれない。そうなったら、データはパアである。あるいは自分のメールを誰かに見られるリスクもある。


一方メリットの方は、ネットにつながる環境であればどこからでもメールチェックをできるということ。ネットカフェにAppleストア、ホテルなどに設置してある端末でも、もちろん人のパソコンからでもオッケーだ。ちょっと面倒だけれど携帯電話のブラウザーからネットにアクセスしてみることもできる。きちんと設定すればGmailに届いたメールの中から特定のメールだけをフィルタリングして携帯に転送、なんて裏技も使える。


というぐらいに、Gmailは便利なツールだ。これが今までは一応、Gmailをすでに使っている人からの紹介がなければ使うことができなかった。ところが遂にというか満を持してというか、誰でも使えるようになった。Googleで自分のアカウントを持てばすぐに使える。紹介制度を取っていたときでも、ほとんどフリーパスだったのだが、要はGoogleサイドでのサーバー増強などの準備が整ったということなのだろう。


では、これによるGoogleの狙いは何だろうか。


昨日の日経の記事の見出しは『無料メール 日本で本格展開 米グーグル、ヤフーを追撃』となっている。この記事によればヤフーも同じく無料メールサービスを提供していて、こちらは容量1ギガバイト、利用者は約1200万人らしい。またマイクロソフトも同じようなサービスを提供していて、ユーザー数が616万人とある。


とりあえずはヤフーを意識しているようだ。が、どうもGoogleの狙いは、もっと深いところにあるような気がする。その狙いの象徴的なサービスが、たとえばGoogle Spreadsheetsではないのだろうか。これは、GoogleによるExcelサービスだ。つまりExcelソフトをもっていなくても、それとほとんど同じ機能をネット上で使えるようにしたサービスである。データそのものもネット上に置いておくことになるから、そのデータは自分が認める人となら共有することもできる。


その次にはWordと同じサービスが提供されるともいわれている(もしかしたら、もう提供されているのかもしれない)。そうなると、何が起こるのか。極端な話、ネットに接続できる環境さえあれば、自前のパソコン(ハードディスク)がいらなくなるってことじゃないんだろうか。つまりデータを保存しておくハードディスクは全部ネット上にある(正確にはGoogleのサーバーにある)、みたいなイメージだ。


ということは、最終的なGoogleの狙いは、全地球上のすべての人のデータを自社のサーバーの中に保存してしまう? ところまでを考えているのだろうか。これはもしかしたらグーグルゾンで予言された世界なのかもしれない。
http://probe.jp/EPIC2014/ols-master.html


あるいはオーウェルが予言した『1984』的世界が30年遅れぐらいで実現するのかもしれない。地球上のすべての人のデータを一企業が持つというのは、かなりSF的発想かもしれないけれど、Googleのゴールがここではないとは言い切れない。ということは、もしかして『Googleは神をめざす(Google ,the God of Computer)』なんてことなんだろうか。


まさかね。


逆にいえば、データとの付き合い方をこれからはよくよく考えて生きなければならないってことでもあるんだろう。自分が読み書きしたメールデータ、あるいはExcelで計算したり、Wordで紡ぎだしたデータにどれほどの価値があるのか。そんなことが問われる時代になっているのかもしれない。


昨日のI/O

In:
日野佳恵子さん・インタビュー(素晴らしい女性、超・刺激的でした)
Out:
河田恵昭教授・対談原稿

昨日の稽古:

昨日のBGM