鼻毛カッターはどこで売るべきか


Amazonでの売上ナンバーワン(ただしホーム&キッチンストア部門)は何か?


商品点数約4万点の中で、06年上半期トップとなったのが何と電動鼻毛カッターだったらしい(毎日新聞9月12日)。ちなみに、これを書く前(9月14日AM6:05)にAmazonのサイトにいってみたら、やはりトップだった。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/tg/new-for-you/top-sellers/-/kitchen/all/ref=sv_k_2/250-7763399-7921856?%5Fencoding=UTF8


しかも、ちょっとググってみると、この日立製鼻毛カッターは少なくとも昨年の7月29日の時点でもAmazonでトップだったようだ。
http://d.hatena.ne.jp/naoya/20050729


恐るべし。


なぜ、この鼻毛カッターが売れているのかを考える前に、そもそも鼻毛カッターマーケットが存在するのか、存在するとすれば、そこでの4Pはどうなるのかを少し考えてみたい。


まず鼻毛カッターマーケットは存在するのかどうか。これは、まず間違いなくあると見ていいだろう。鼻毛といえば、オヤジが親指と人差し指を鼻の中に突っ込んで、伸びている毛をつまんで引っこ抜く。抜いたらついでにフ〜ッと吹く。なんて絵が思い浮かぶが、そんなことをするオヤジは今や圧倒的少数派というか、もしそんな人がいれば生きた化石である。


別にチョイ悪を気取る(というか、それってバカだと思うけれど)わけじゃなくとも、人前で鼻毛を抜くなんて行為はやっちゃいけないのである。少なくとも今の50代ぐらいより下の人たちの間では、鼻毛抜きには恐ろしいまでの恥ずかしさを覚える人が多数派だろう。であるならば、抜き取られない鼻毛はどうなるのか。抜かないと伸びるのが鼻毛である。


鼻毛を抜くのは恥ずかしい。しかし、伸びた鼻毛が鼻の穴から「こにゃにゃちわ〜ん」しているのは、恥ずかしさを通り越して『あり得ない』状況である(と想像する)。もし会社勤めをしている40代男性が、職場の女性たちから「あのオヤジ、鼻毛伸びてんのよね、ダッサ〜」なんて噂でもたてられた日には、もう一巻の終わりではないか(ここまでいうと少し大げさすぎるかもしれないが)。


ということは、鼻毛は定期的に処理すべきもの、それがエチケットとして暗黙のうちに認識されている可能性は高い。つまり鼻毛カッターマーケットは厳然として存在するのだ。これが前提となる。


では鼻毛カッターマーケットの4Pはどうあるべきか。とりあえず鼻毛切りハサミがある。これでチョキチョキやるのである。誤って鼻の粘膜を傷つけないように刃先には丸みがつけられている。がしかし。あまりに熱中したり、酔っぱらっている時にジョリジョリやると、時に鼻の中を切ることもある。これが価格にして300円ぐらいから。ドラッグで売っている。鼻毛切りハサミのプロモーションは寡聞にして目にしたことがない。売り場もよく探さないと、なかなか見つからない。というわけで鼻毛切りハサミは、基本的には日陰の商品である。


これに対して電動鼻毛カッターはどうか。


ハサミに比べると、まず安全である。これだとよほどのことがない限り、鼻の中を切ることはないだろう。さらには便利でもある。鼻毛切りハサミの場合は、丸い鼻の穴の中を均等に、つまり鼻毛を切り残すことなく切っていくのは、なかなか難しい。まんべんなく思うようにハサミを扱えるようになるには、少なくとも一年はかかるだろう。これに比べれば電動鼻毛カッターなら、買ったその日から誰でも使える。しかも電動だから楽々である。ユーザーバリューは高い。


その価値に対して、人気ナンバーワンの日立製『鼻毛カッター BM-03 S』はAmazonなら960円。これはお値打ち感が高い。文庫本の一冊ぐらいを組み合わせて買えば、送料無料である。これである。しかも通販なら、誰に気兼ねすることもなく買える。


毎日新聞の記事では、購入者は案外女性が多いのではないかと書かれていたが、それもあり得る話だと思う。こうしたエチケット系の商品を店頭で販売員に渡して買うのは、なかなかに勇気の要る行為である。通販で買えるなら、それに越したことはない。


しかし、これまでの通販システムには致命的な欠点があった。それは、店頭で見比べるようにほかの選択肢を検討することが難しいということだ。この欠点をブレイクスルーしたのがAmazonである。Amazonならキーワード『鼻毛カッター』で検索すると、実に21点もの電動鼻毛カッターが表示される。そのそれぞれにはカスタマーレビューがある。自分で試してみなくとも、実際に使ってみた人のクチコミを知ることができる。


これが大きい。通販にはクチコミ。メーカーの説明を読まないわけじゃないけれど、信頼度はクチコミに対する方が圧倒的に高い。その中で売れている、ということは、この商品なら間違いない、といった安心感を与えるはずだ。だから電動鼻毛カッターに関しては、日立製が一年以上もトップの座をキープしているのではないだろうか。


店頭では、主に恥ずかしさが要因で買ってもらいにくい。だからといって、中身を調べずに買うのは恐い。そんな製品はネット通販に載せる。そしてユーザーのクチコミ(これは仕掛けることも可能だ)をできるだけたくさん掲載する。これが、これからのネットマーケティングの一つのセオリーになるのだと思う。


昨日のI/O

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某大手製薬会社・事業報告書企画アイデア

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