軸足を意識する

 
回し蹴りは軸足


子どもを指導する時によく「つま先で回って、かかとを相手に向けるんだよ」なんていっている。が、言うは易く行うは難しの典型であった。もちろん、自分でも回し蹴りのときには軸足の返しは意識しているつもりだ。だが「つもり」と実際にできているかどうかは違う次元の話しである。


昨日の稽古では「軸足の返しだけ」を意識して、回し蹴りを繰り返した。もとより回し蹴りにはいくつかのポイントがある。膝の抱え込みからその解放と戻し、上体の傾き、手の動かし方等々。強く、速く蹴るためには、全身のバランスがとれていなければならない。そこで普段はつい、いろいろ考えて蹴ろうとして、それでも最終的には「力一杯」みたいな蹴り方になって、結局はスムーズに蹴れていない、なんて結果に終わる。


特に苦手な右の回し蹴りがそうだ。


ところが昨夜は違った。軸足の返しだけに意識を集中した。だから力を入れない。蹴りに入る前は極力脱力する。しかも体が倒れないように蹴り足とは反対の手を壁に当てて体を支える。そうやって、とにかく軸足のかかとを相手に向けるまで返しきる。これだけ、である。


すると、苦手な右の蹴りの手応えが違うのだ。自分でも強い蹴りを出せていることがわかる。ミットに当たった瞬間のインパクトが違う。「おお〜、これは!」といった感じである。


少し考えてみるに、軸足を意識するということは体の回転軸を一本に絞るということなのだろう。つまり軸足を中心にして体をしっかり回す。蹴り足は体の回転に伴って、自然に回ってくる。これまで回し蹴りをうまく蹴れなかった理由は、蹴り足だけを回そうとして実は体がついてきていなかったのではないか。


以前、別の指導員の方に、いったん蹴り足の方に体を沈むようにひねってから勢いを付けて蹴る稽古方法を教わったことがある。この方法でも自然に体が回転するから蹴りがスムーズに出る。もちろん動作が大きいから組み手で使うことはできない蹴り方だけれども、回し蹴りとは体をどう使うのかを体感することはできた。原理的には軸足返しに意識を集中するのも同じことなのだろう。


回転系の技についてはいつもいわれることだけれども、一本の回転軸をしっかりと意識し、その軸を回すことで体全体がまわっていくイメージを持つことが大切なんだと思う。にしても軸足一つで回し蹴りが違ってくるのだから、おもしろい。


昨日のI/O

In:
『疲れない体をつくる「和」の身体作法/安田登』
『強い工場/後藤康浩』
Out:

昨日の稽古:西部生涯スポーツセンター・ダンススタジオ

・基本稽古
・ミット稽古(軸足を回す回し蹴り・肩甲骨を使う下突き)
・補強(ジャンピング腕立て・逆立ち腕立て・腹筋・カーフレイズ)