人とは違う自分になるために


5人vs3億人


あることのプロフェッショナルが世界中に5人しかいないのと、3億人いるのとでは、どちらが希少価値が高いか。いうまでもなく5人の方である。一体何の話かといえばまたまた、内田先生の本からの引用で申し訳ないのだが、実にユニークな考え方が紹介されていた。自分にしかできない強みの創り方である。

英語ができて、コンピュータが得意で、ピアノが弾ける人は世界にたぶん3億人ぐらいいる。でも、例えば、イディッシュ語ができて、胡弓が弾けて、算盤ができるという人になると世界に五人ぐらいしかいない。キャリア形成にかける手間が一緒なら、他の人ができなことを探した方が効率がいいんじゃないか
(『健全な肉体に狂気は宿る』内田樹春日武彦角川oneテーマ21、2006年、66ページ)


なるほど、確かに。


この話から得られる気づきは二点ある。まず第一には得意分野が一つだけなら人との違いをそれほど打出すことはできないが、それが三つ、四つ重なれば相当にレアなレベルに入っていけるということだ。これは決して足し算ではなくかけ算効果になる。


そして第二点は、当たり前のことではあるけれども、できるだけ人がやっていないことを得意分野にするのが、実は楽だし手っ取り早いってこと(だって、やっている人が少なければその平均レベルだってそんなに高くないので「得意」といえるレベルに到達するのも早いでしょう。たとえば昨日取り上げたバレーでオリンピックに出るのと、カーリングの代表選手になるのとではどっちの確率が高いかってことです)。


さらにいえば、人がやっていないことを続けていれば、その時間蓄積効果は人がやっていることを続けているよりも相対的に大きくなる。つまり、とてもニッチな分野を研究(というほどたいそうなことじゃなくてもよくて、毎日、新聞を読む中で特定の分野に注目してみるとか)し続けて、それが3年、5年と続けば、どうなるか。「○○なら、あいつに聞け」なんてオーソリティになれる可能性が高くなるってわけだ。


ということは、たとえば生産材マーケティングの分野に詳しくて、しかも顧客の不満から生まれた新製品・サービスについての事例を数多く知っていて、さらには顧客インタビューが得意、なんてのは、かなりニッチではあるけれども差別化になる(のかもしれない。それがどれだけ役に立つかどうかはおいておくとして)。


とりあえずは、得意分野は三つぐらい持ってみよう。さらには、できるならあまり人がやっていないような分野を得意にしてみよう。するとその結果は、足し算ではなくかけ算になる。つまり差別化になる。この原則を頭において自分は何を勉強をしていくかを考えたいし、子どもの教育(育て方)にも応用してあげるといいのではないだろうか。


ちなみにイディッシュ語については、下記をご参照あれ。
http://ja.wikipedia.org/wiki/イディッシュ語


昨日のI/O

In:
『健全な肉体に狂気は宿る/内田樹春日武彦
Out:
Relation84号・原稿

昨日の稽古: